卓球中国女子の非情選考で異論続出 母国メディアが糾弾した五輪選考方針「不満出てくるのは当然」

ワン・マンユ【写真:ロイター】

中国卓球協会がパリ五輪代表を発表

中国卓球協会は14日、今夏のパリ五輪の男女代表選手を発表した。男子シングルスは世界ランキング1、2位をそのまま選出し、3、4位がそれぞれ団体戦要員、リザーブと序列通りの結果。一方で、女子は発表前日までの序列が崩れた選出となった。中国メディアは特集記事を展開。卓球協会の方針変更を受け「不満が出てくるのは当然」と伝えている。

今回、女子シングルスの代表となったのは世界ランキング1位の孫頴莎と同2位陳夢の2人。団体戦を戦う3人目に同3位の王曼昱、同4位の王芸迪というラインナップとなった。形式上は1~4位までが順当に選ばれたように見えるが、前日までの世界ランキングは1位孫頴莎、2位王曼昱、3位王芸迪、4位陳夢だった。最後の最後に状況が変わったことに国内でも議論が沸き起こっている。

中国メディア「新浪体育」は「王曼昱がシングルス落選!ファンは3つの疑問を提示。8冠が選ばれず2冠が選ばれた」との見出しで記事を掲載。「中国卓球協会からパリ五輪出場選手の名簿が発表されたが、王曼昱は女子シングルス代表に落選し、団体戦にのみ出場することとなった。この名簿が発表されるやいなや、ファンからは不満の声が噴出した。とりわけ、王曼昱のファンからは3点について疑問の声が上がっている」と選考への疑問を伝えている。

記事では陳夢と王曼昱のここまでの実績を比較。「パリ五輪周期(前回の五輪から次の五輪までの期間)の規模の大きな大会における優勝回数を見ると、王曼昱は明らかに陳夢を上回っている」「王曼昱は8回優勝しているが、陳夢の優勝回数は2回にとどまる」と王曼昱のほうが上であることを指摘している。さらに「国外選手に負けた回数を見ても、王曼昱は3回だが陳夢は4回だ。更に、王曼昱は8回も陳夢を破っている」と、対外国勢の成績と直接対決の成績についても触れている。

にもかかわらず、2人の序列が逆転してしまった理由として、同メディアは「王曼昱が陳夢に抜かれたのは、王曼昱が直近のサウジスマッシュで国外選手に敗れ、陳夢が同じサウジスマッシュで優勝したからに他ならない」という声を紹介。11日までサウジアラビアのジッダで行われた国際大会「サウジスマッシュ」の女子シングルスの結果も併せて紹介している。

“ねじれ現象”が発生した理由は…

こうした“ねじれ現象”が起こった原因として、記事では「卓球協会が突然選抜方法を変えたことにある」と指摘。さらに「2023年5月15日に定められた規則には、出場資格のポイント計算の最終日は2024年5月7日と明示されていた。この期日に従えば、シングルスの出場資格は王曼昱のものであった。ところが2024年4月13日になって突然、この選抜方法が改められ、選抜対象にサウジスマッシュが加えられ、シングルスの代表は王曼昱ではなくなった」という時系列にも触れられている。

さらに「女子チームのポイント計算期日が男子チームと同じ5月7日であったなら、シングルスの代表は王曼昱だった。選抜規則がパリ五輪周期全体をカバーするものであり、その全体の成績が考慮されていたなら、シングルスの代表は王曼昱だった。国外選手に負けたときの減点規則が選抜期間全体をカバーするものであったなら、シングルスの代表はやはり王曼昱だった。パリ五輪までの期間の前の2年を対象とせず、1年だけを対象とし、更に国外選手に負けた場合の罰則を2か月だけに適用したために、代表は陳夢となった」と女子代表選考において突然の規則改正があった“ご都合主義”に疑問を呈するような論調だ。

ファンが指摘する「3つの疑問」も紹介。「第一に、なぜ随意に選抜規則を変更したのか、第二に、なぜ若い世代を入れて、長い目で対応をしないのか、第三に、主力選手の間で長期的に実力に基づいた資源や機会の分配が行われていないのはなぜかといった疑問である」といった声があるとのことで、「突然規則を加えたりすれば、不満が出てくるのは当然のことである」と締めている。

THE ANSWER編集部

© 株式会社Creative2