[バイク交通問題] なんでバイクだけ通れないの? ライダー泣かせの“二輪車通行禁止区間”とは?

ツーリング中に気をつけたいのが”二輪車通行禁止区間”。走行中に遭遇し、回り道を余儀なくされた経験のあるライダーも多いでしょう。こうした区間は全国各地にあり、なかには有名観光地へ向かう道路が二輪車通行禁止になっていて、バイクで行きたくとも行けない場所も。そもそもなぜこういった区間が定められているのでしょうか?

●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)

ライダーを悩ませる二輪車通行禁止区間。具体的にどういった場所が挙げられる?

二輪車通行禁止区間の手前には必ず標識がありますが、標識を見落としてしまったり、何気なく前を走るクルマについて行ってしまうと、気づかずに侵入したりすることも珍しくありません。

誤侵入を起こさないためには、まずはどういった場所が二輪車通行禁止区間になるのか、注意すべき代表箇所を知っておくことが大切です。

― アンダーパス/オーバーパス

アンダーパスとは道路や線路の下を通過する道路、そしてオーバーパスはいわゆる陸橋を指し、これらは都市部に多くあります。

原付一種が通行禁止となっている場所が多いものの、なかには二輪車全般の通行を禁止している場所もあるようです。ただし、すべてのアンダーパス/オーバーパスが二輪車通行禁止ではない点も、余計に通行の可否をややこしくさせています。

― レインボーブリッジ/横浜ベイブリッジ

ややこしい橋の代表は、観光地としても人気のレインボーブリッジ(東京都)と横浜ベイブリッジ(神奈川県)です。それぞれの橋はどちらも2層構造になっている特徴があります。

上層はどちらも高速道路になっているため、126cc以上のバイクでなければ通行できないことは誰もが知っていると思いますが、下層はそれぞれの橋で規制内容が異なります。

レインボーブリッジの下層は、原付二種なら通行できますが、原付一種は通行禁止です。一方、自動車専用道路と接続されている横浜ベイブリッジの下層は、原付二種も原付一種も通行できません。

レインボーブリッジはバイクが走行できない場所のひとつとして有名だ

― 山岳部の観光地/ツーリングスポット

山岳道路/峠道と呼ばれる場所も、二輪車通行禁止区間が多い傾向にあります。たとえば茨城県の筑波山へ南から入る表筑波スカイラインは、二輪車は終日通行禁止。また西から入る観光道路は、午後7時〜翌朝8時までの夜間が二輪車通行禁止となっています。

さらに、筑波山の周辺も終日二輪車通行禁止となっている道路が多く、地理と通行禁止区間が頭に入っていなければ目的地にたどり着けないほど、ややこしい状況になっています。

そのほか、関東では東京都の奥多摩湖外周道路や静岡県の箱根旧道なども、二輪車通行禁止区間がある代表的な場所として挙げられます。

場所によって規制内容はバラバラ。二輪車通行禁止区間の設置基準は?

なお、警察庁の資料によると、二輪車通行禁止区間は以下のような設置基準が設けられているようです。

  • 道幅が狭く、クルマとの混在通行により危険が生じる道路
  • 排気量125cc以下のバイクが通行できない高速道路等と接続している道路
  • カーブや急勾配が連続し、交通事故が起きやすい道路
  • 暴走行為等による危険の防止や、地域の静穏を確保する必要がある道路

つまり、二輪車通行禁止区間が設けられているのは、ひとえに安全のためと言えるでしょう。

また、二輪車通行禁止区間設置の留意事項として、迂回路が長くならないように/交通障害とならないように配慮されてはいるものの、実際は不便も生じているようです。

とくに地域住民の生活道路となっている場所では、通行禁止になっていることで大きく遠回りをしなくてなりません。なかには暴走行ための対策として数十年前に定められた規制がそのまま適用されている箇所もあり、現在の交通状況との食い違いが起こっている場所もあるそうです。

また、場所によって規制内容がまったく異なる点も問題のひとつ。補助標識には規制対象となるバイク種別/曜日/時間帯などが明記されているものの、複雑な条件が記載された標識の場合、瞬間的にそれらを読み取るのは困難です。

加えて、誤って通行禁止区間に進入しそうになったライダーがUターンをして、かえって危険な状況を招くなどの問題もあるようです。

補助標識には通行禁止の時間が明記されているので、見落とさないよう注意したいところだ。

ちなみに、過去には全国に700か所あった二輪車通行禁止区間も、2024年5月現在では500か所程度に減少しています。

この改善は、ライダーや地域住民の意見を汲み上げた二輪車普及安全協会が、二輪車通行禁止区間の見直しを警察に訴えかけたことによるものです。

とはいえ、全国に数多くある二輪車通行禁止区間には依然として注意を払う必要があります。標識を見落とさないことはもちろんですが、知らない土地を走行する際は、二輪通行禁止区間を表示してくれるナビを活用するとよいでしょう。

ナビのほか、二輪車普及安全協会のウェブサイトでも全国の二輪車通行禁止区間が確認できます。ロングツーリングの予定を立てる際は、現地の二輪車通行禁止区間のチェックも欠かさずに行いましょう。

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