米114発の大物助っ人、電車通勤を続ける理由 慣れない異国も…忘れぬファンへの感謝

インタビュー取材に応じた西武のヘスス・アギラー【写真:小林靖】

「日本のマッサージは最高だよ」西武のアギラーは試合前にもリラックス

メジャー通算114本塁打を誇る西武の新外国人ヘスス・アギラー内野手は、右足首痛で8日に出場選手登録を抹消されたが、スタメン出場した全29試合で4番を任されるなど期待は大きい。慣れない異国で奮闘する助っ人にとって、束の間の心の癒しは──。

球団の公式YouTubeでは、同じく今季から西武に加入した元山飛優内野手(前ヤクルト)に、試合前のグラウンド上でマッサージしてもらっている様子が紹介されている。「オー、グッド~、グッド~、アリガトウゴザイマス」と本当に気持ちよさそう。

抹消前のインタビューで、「日本のマッサージは最高だよ。特にライオンズのトレーナー陣は本当に気持ちいい」と満面の笑みを浮かべた。来日前、米国では“ご近所さん”で2021年まで西武に在籍していたエルネスト・メヒア内野手から、西武のトレーナー陣の評判を聞いていたそうだ。

中村和将1軍ヘッドトレーナーによると、マッサージ中は心底リラックスしている様子で、トレーナー陣は体の大きいアギラーに対して、強めにしっかりマッサージをしているとか。そして「アギラー選手は治療後、丁寧に感謝の気持ちを伝えてくれます」と明かす。支えてくれている人たちへの感謝を忘れない、元メジャーリーガーの人間性が垣間見える。

休日は、同じ新外国人のアルバート・アブレイユ投手(前ヤンキース)の夫人が作る料理をご馳走になることもある。「日本の文化をもっと知りたい」と観光地を訪れたい気持ちもあるが、今は次の試合に備えるために、休日はしっかり休んで疲れをとることを心がけていると話していた。

電車通勤でファンと乗り合わせ「写真を撮ったりするのも自分の役割」

日本でお気に入りの球場を聞くと、「1番はやはり、ベルーナドーム!」と即答。壁がなく、屋根を柱で支える形状で、常に外気と触れている“自然共生型ドーム”の本拠地を、「完全なドームでなく隙間が開いているところが、とてもユニーク。このようなタイプは世界に1つだけだと思うよ」と絶賛した。

ホームゲームでは、その本拠地まで電車通勤している。試合終了後、大勢のファンと乗り合わせることも。「自分たちを応援するために球場へ足を運んでくれているのだから、ファンの皆さんと写真を撮ったり、サインをしたりするのも自分の役割だと思っている」とうなずく。

日本に来てから管理栄養士に勧められ、人生で初めて豆乳を飲み始めた。「米国でも(生まれ故郷の)ベネズエラでも、朝食はパンや卵、ドーナツなどで、朝から糖分をたくさん摂る生活だった。日本人の朝食は魚やサラダが多くて健康的だね。それを見習い、魚を食べるようにしているよ」と明かす。

“豆乳効果”なのか、平石洋介ヘッド兼打撃戦略コーチは、「キャンプ、オープン戦の頃と比べると、体が引き締まり、それに伴ってスイングも明らかに鋭くなってきましたよ」と指摘する。日本流も取り入れ、本領発揮はこれからだ。(倉林知子 / Tomoko Kurabayashi)

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