夫「転勤が決まったんだ」妻「えっ⁉」…月収43万円42歳サラリーマン〈夢のマイホーム実現〉の1年後にまさかの辞令「この家、どうする?」

サラリーマンであれば「転勤も仕方なし」という人も多いでしょう。しかし「家を買ったばかりなのに……」という最悪のタイミングで転勤が決まったら、どうしますか? 単身赴任ははイヤ。でも手当てが出るとはいえ、住宅ローンを抱える身としては少しの負担増も避けたい。さて、解決策は? みていきましょう。

42歳サラリーマン「子の小学校進学前」にマイホームを買いたい

いつかはマイホーム……多くの人が抱く夢です。ただ何千万円もする買い物、現金一括購入なんてことができる人は一般の人のなかにはそうそういません。多くの人が住宅ローンを活用して夢を実現します。

そこで考えたいのが、いくらの物件が買えるのか、いくらローンを借りられるのか、ということ。

物件価格については、年収倍率がひとつの目安。これは物件価格が世帯年収の何倍か、というもので、6~7倍というのが一般的。しかし、不動産価格が高騰する東京周辺では、年収倍率10倍程度でもOKというケースも。

ローンについては、返済負担率がひとつの目安。これは返済額が年収の何%にあたるかというもので、ふらっと35では、年収400万円未満では30%、年収400万円以上では35%が上限とされています。ただ上限いっぱいいっぱいというのは、相当ローン負担は重く、家計は火の車になること必至。ローン負担を考えるなら、15~20%程度といわれています。

――子どもが小学校に上がる前にマイホームを買いたい

投稿者は42歳のサラリーマン。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、平均給与は月収で43.0万円、年収で748.9万円。この程度の給与水準だった場合、どれくらいの家を買うことができ、どれくらいの家計負担になるのでしょうか。

年収倍率は6割だとしたら、4,500万円程度の家が上限。頭金の平均、物件価格の1割を入れたとして、残りの4,000万円ほどをローンを活用するとしたら、どのような返済プランが考えられるのでしょうか。金利は0.5%として考えてみましょう。

パターン① 60歳の定年前に返し終えたい

返済期間:18年

返済総額:4,183万5,208円

月返済額:19万3,682円

返済負担率:31.0%

パターン②65歳年金をもらうころには返し終えたい

返済期間:23年

返済総額:4,235万2,268円

月返済額:15万3,450円

返済負担率:24.6%

パターン③返済負担率を20%以下にしたい

返済期間:29年

返済総額:4,297万8,199円

月返済額:12万3,501円

返済負担率:19.8%

定年までに完済する場合、月々の返済額は20万円程度になり、返済負担率は30%を超えます。また年金受給が始まる前までに完済を目指しても、返済負担率は25%弱。やはり家計は苦しい……。では返済負担率20%以下、月々の返済負担を軽くすると、完済は71歳と高齢に。

このようにみていくと、「夫婦2馬力で家計を運営する」「頭金を増やして借入を少なくする」「購入物件の見直し」など、夢のマイホーム実現のために、いくつかの道筋が見えてきます。

家買ったばかりなのに、転勤⁉ 憤りのなかにふと「この家、賃貸に出すのはあり?」

国土交通省『令和4年住宅市場動向調査』によると、注文住宅の平均ローン返済期間は、住宅が32.9年、土地が34.2年。また分譲戸建てでは34.1年、分譲マンションは32.0年。このように住宅ローン返済は30年程度かかるのが一般的。長い返済生活、常に順風満帆というわけにはいきません。

前出の投稿者、マイホーム(新築マンション)を実現した後日談。実はとんでもないことに巻き込まれ、マイホームに住んでいないといいます。

マンション購入後1年ほど経ったころ、男性に衝撃的な辞令が……。

――きみに九州支社への異動の話があるんだが

上司もマイホームを購入して間もない部下に対して、転勤の話をするのは相当気まずかったようだったと男性。そもそも、マイホームを購入したばかりの従業員に辞令を出す会社も会社……かなりの憤りを感じたといいます。

――転勤が決まったんだ

――えっ⁉ どういうこと?

妻も初めは夫が何を言っているのか、理解できていない様子だったといいます。「単身赴任という選択肢もあるけど」と男性がいうと、「それはイヤ。ついていく」と妻。ただ困ったのは、月々12万円の返済、30年ローンで購入したマイホーム。2万円ほどで社宅が借りられるとはいえ、負担増は痛い……。

「この家、貸せないのかしら?」と妻。結論からいうと、住宅ローン返済中に賃貸に出すことは基本的にはできません。住宅ローンは借入を行った人とその家族が住む際に利用できるローン。賃貸に出した場合は契約違反となり、最悪、契約解除、残債の一括返済を求められることもあります。

解決策としては、不動産投資ローン、いわゆる事業用ローンへの借り換え。このローンであれば、賃貸に出してもなんら問題はありません。ただし、住宅ローンに比べて金利は高く、また住宅ローン控除も利用できません。さらに手数料がかかることも難点です。

実際に転勤などで、マイホームに住めなくなったら、まずは借り入れしている銀行に相談するのが第一歩。場合によっては、住宅ローンを利用しながら賃貸に出すことが認められることもあります。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

国土交通省『令和4年住宅市場動向調査』

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン