地震被災で富山大学など受け入れの輪島漆芸研修所生が卒業

2024年5月7日、能登半島地震で建物が被災した石川県輪島市の石川県立輪島漆芸技術研修所の研修生4人が、受け入れ先の富山大学芸術文化学部で卒業制作を終え、石川県金沢市のしいのき迎賓館で卒業証書を授与された。

富山大学によると、卒業証書授与式には富山大学で卒業制作をした4人ら普通研修課程の5人、特別研修課程の9人が出席。輪島漆芸技術研修所の小森邦博所長が研修生を受け入れた富山大学など5校に謝辞を述べたあと、卒業生に「『芸は人なり』の言葉を忘れず、一人前の漆人になるよう期待する」と式辞を述べた。続いて、石川県の馳浩知事、金沢市の村山卓市長、輪島市の坂口茂市長が社会に巣立つ卒業生を激励した。

輪島漆芸技術研修所は1月の能登半島地震で建物や敷地が被災し、授業の継続が難しくなったため、研修生を富山大学などで受け入れてもらった。富山大学では特別研修課程の1、2年生8人を芸術文化学部で受け入れ、施設を提供するとともに、漆芸担当教員が指導した。富山大学はホームページで「制作の場と学びの機会を提供できたことで1人でも多くの研修生が未来の輪島漆器に貢献できることを願う」とコメントしている。

輪島漆器は輪島塗とも呼ばれ、江戸時代前期の寛文年間(1661~1673年)に現在の技法が確立した輪島市の伝統的特産品。丈夫で優美な美しさを持ち、1975年に当時の通商産業省から伝統的工芸品に指定されている。

参考:

【富山大学】石川県立輪島漆芸技術研修所卒業証書授与式を挙行

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