日鉄興和不動産/リンクジャパン、かかりつけ医によるオンライン診療を国内初実装した分譲マンション

2023年12月に竣工した分譲マンション「リビオ浦安北栄ブライト」にかかりつけ医によるオンライン診療を国内で初めて実装した。スマートホームによる暮らしの快適性向上が加速する。

日鉄興和不動産は、22年度から物件へのIoT導入を本格的にスタート、竣工済物件の7棟1071戸に導入済みだ。この度、入居を開始した「リビオ浦安北栄ブライト」は国内で初めてかかりつけ医によるオンライン診療を可能とした。

マンション近くの立地で経営を行っている「浦安ツバメクリニック」(千葉県浦安市、坂井正弘院長)の協力のもと、リンクジャパンがシステムを設定。オンライン服薬指導などを行う企業のメディバリー(東京都文京区、平野弘喜代表取締役社長)とも連携を取り、ユーザーは診察の予約から、薬の配達予約、支払いまでをワンストップで行える。

「リビオ浦安北栄ブライト」の入居者は、スマートホームアプリでかかりつけ医によるオンライン診療が受けられる

リンクジャパンが提供するスマートホームアプリ「HomeLink」のアプリを開くと、家電の操作アイコンと同じ画面から、診療科、医師、希望日時の選択が行える。診療希望日時を第3希望まで入力すると、医師が対応可能日時を選択、時間になるとアプリ上でビデオ通話が開始する。ビデオ通話と併せてチャットでのやり取りも可能だ。処方箋についても、希望日時を第3希望まで選択し、薬剤師が対応できる時間を選ぶ。入居者が払う費用は通常の診療代、処方代と薬の宅配料のみで、オンライン診療を行うことでかかる費用的な負担もない。

これまでもオンライン診療サービスを導入している分譲マンションはあったが、それらのサービスは登録してあるいくつかの病院の中からユーザーが希望した時間に対応できる医師が都度対応する形式をとっているため、診療のたびに対応する病院や担当医師が変わるケースがあった。浦安ツバメクリニックの坂井院長は「オンライン診療には興味があった一方で、心臓の音を聞くなどの診察ができない点や、システムによって継続的な診察ができない点をハードルに感じていた。今回は、近所に建設されたマンションの入居者向けサービスということで、場合によっては触診もでき、チャット機能などを利用しながら継続診療を行いやすいと思い快諾した」と話す。

拡張機能で住宅の価値向上へ

医療サービスの充実目指す

リンクジャパンは、これまでにパラマウントベッドやクラウドケアと連携し、睡眠環境の最適化や訪問介護の派遣申し込みなどのサービスも導入している。「スマートホームはIoTサービスの進化により、物件の引き渡し後もできることが増えていく点が最大のメリット。今後も様々な会社と連携し、家電の遠隔操作に留まらず入居者が日常で必要とすることが全て賄えるような住宅ソフトウェアを確立したい」(ホームIoT統括事業部・土橋照之ディレクター)考えだ。現在は生活ログを貯蓄して認知症の早期発見を目指す技術開発を行っており、住宅と医療が一体となった暮らしの提供に力を入れる。

今回のオンライン診療サービスについては、すでに多くのデベロッパーから問い合わせが来ているとし、今後ほかの物件へも採用が広がりそうだ。

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