これで「下痢」には悩まない(2)「大丈夫」と思えるものをいくつも準備する

自分が「大丈夫」と思うこと(写真はイメージ)/(C)iStock

下痢は、お腹の“性格”や自身の気持ちが引き起こすものだ。そうはいっても突発的な下痢や慢性的な下痢に悩む人にとっては深刻な問題だ。日本消化器病学会専門医で「東長崎駅前内科クリニック」(東京・豊島区)の吉良文孝院長はこう言う。

「そもそも、感染性腸炎などの急性下痢症や特殊で慢性的な下痢を起こす病気を除いた慢性下痢症に関しては根本的な治療法がないことが多く、完全に良くなるということもなかなかありません。ただ、患者さんには『大丈夫にしていく』という言い方をしています。対処法というか、付き合い方を知ることで、『下痢している、お腹がグルグルしているけど、別に大丈夫かな』となればいいわけです。そのためには『自分が大丈夫なもの』をたくさん準備して、集めておくといいでしょう」

たとえば外出での下痢が不安な場合、行き先のトイレの位置をあらかじめ知っておけば、それだけで下痢にならないケースもある。

日々の通勤時に気になる人は、路線を替えると楽になる人もいるという。

下痢止めの薬を常に手元に置いておくのも効果的だ。肝心なのは、とにかく自分が「大丈夫」と思うことなのだ。

「いろいろ考えると、それが余計に下痢につながってしまうので、気にしないようにするのが一番なんですよ。ただ、そうは言っても気持ちだけでうまくいく人ばかりではありませんし、日常生活がままならないという場合もあるでしょう。そういう時には薬を使ってお腹のベースを少し良くした上で、自分で『大丈夫』と思える空間をつくってもらうんです。そうすると最初は切実な様子だった患者さんも、『下痢はまったく治ってないけど大丈夫です』という感じになる。ゼロにするのはかなり難しいので、そこが終着点ですね」

下痢には年齢も性別も関係ないが、最近は子供が増えたという。吉良院長はその原因を勉強や受験のストレスが増えたからではないかと推測する。子供は自分で環境を変えられないため、改善が難しいところがある。もしも身近に下痢に悩んでいる子供がいたら、「気にしないように」と声をかけてあげたい。(つづく)

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