子どもの中学受験を考えています。収入がいくらあれば、私立中学に入れても、学費や塾費用をまかなうことができますか。

私立中学の学費

まずは、私立中学の学費について確認していきます。

ここでいう学費(学習費)とは、学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計額を指します。文部科学省の資料によると、1年間にかかる学費は、公立中学校が約53万9000円、私立中学校が約143万6000円となっています。私立と公立では、1年間で約90万円の差が生じ、3年間では、私立中学の方が公立中学より270万円もお金がかかるようになります。

図表

(文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」より抜粋)

私立中学の子どもがいる家庭の世帯年収

次に、実際に子どもが私立中学校に通っている家庭では、世帯年収はどのくらいあるのか見ていきます。同じく、文部科学省の資料によると、私立中学に子どもが通っている家庭の世帯年収の割合は、以下のとおりとなっています。

__・400万円未満 :3\.8%
・400~599万円 :6.2%
・600~799万円 :15.4%
・800~999万円 :16.8%
・1000~1199万円 :17.7%
・1200万円以上 :40.1%__

私立中学校に通う世帯の年収は、「年収1200万円以上」が最も多くの比率を占めています。また、年収1000万円以上の世帯は全体の約58%と、半分を超えています。中学受験にチャレンジする場合、世帯年収1000万円をひとつの目安にするとよいでしょう。

中学受験に必要なお金

中学受験の際は、塾に通って勉強するのが一般的です。小学6年生から通塾するようなケースもありますが、小学4年生、5年生などからスタートし、塾に2~3年間通う人も多くいます。さらに、中学受験が過熱している都心部では、小学1年生から塾通いをしている家庭や、塾の他に家庭教師を頼んでいる家庭もあるようです。

小学6年生の場合、大手中学受験塾の1年間の費用は、100万円~150万円くらいが相場となっています。夏期講習の受講の有無や、週末の特別授業などによって、金額はさらに変わっていきます。

中学以降に必要となる教育費

無事に私立の中学に合格したとしても、その後は高校や大学と、教育費が必要になります。特に、受験をして私立の中学に進んだ場合、そのまま私立の高校に進学するケースが多いでしょう。

先ほどの文部科学省の資料によると、高等学校(全日制)の1年間の学費は、公立で約51万3000円、私立で約105万4000円となっています。さらに、高校卒業後は大学に進学する人も多く、さらなる学費が必要となります。

このように、中学受験をして私立の中学を目指す場合、学費そのものに加えて、塾の費用がかかります。さらに、公立中学に進学したケースと比較して、その後の高校や大学では、よりお金がかかると考えられます。自分たちの家計では、その教育費を準備することができるのか、あらかじめ確認しておくことが大切です。

まとめ

都市部などには中学受験を目指す家庭が多いですが、実際にどのくらいのお金が必要になるのかを知らずに受験準備を始めてしまうと、家計が苦しくなる可能性があります。子どもが複数人おり、兄弟姉妹も受験するとなると、必要な金額も倍々に増えていきます。今回紹介した内容を参考にしながら、中学受験をするのかどうか、検討してみましょう。

出典

文部科学省 令和3年度子供の学習費調査
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査より「5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比」

執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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