「枯れるほど泣きました。」60歳専業主婦、年金月18万円・25歳上の夫急逝に絶望…失意のなか〈年の差婚〉に思わず感謝する「遺族年金額」

夫がだいぶ年上の年の差婚。将来、夫の介護が必要になるかもしれない……そんなリスクが考えられますが、年金生活になったときにプラスαでお金がもらえるという、思わぬメリットも。しかも年が離れていれば離れているだけ、そのメリットは大きくなります。みていきましょう。

夫が年金受給者に…年上婚だったら「加入年金」がもらえるかも

20歳のときに結婚したという、60歳・専業主婦の女性。相手は同じ会社で働く、25歳年上の先輩社員だったといいます。

――父親と3歳しか年が変わらなくて……親は猛反対でした

しかし、女性の意思は固く、結婚を強行。結婚式には両親も参加してくれましたが、どこかしこりが残る結婚生活のスタートだったと振り返ります。その後、一男一女に恵まれましたが、孫の誕生により、親との関係も良好なものになったとか。

女性が50代になる前に2人の子どもは独立。夫は65歳で現役を引退。年金生活に突入します。そのときに「夫との年齢差に感謝をした」といいます。そうさせたのは、加給年金。

加給年金は厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が、65歳到達時点で、その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳までの子がいるときに加算されるもの。その金額は、配偶者と1人目・2人目の子は各234,800円で、3人目以降の子は各78,300円。また、配偶者の加給年金には、老齢厚生年金を受ける人の生年月日に応じて、34,700円から173,300円が特別加算されます。

【配偶者加給年金額の特別加算額(令和6年4月から)】

昭和9年4月2日から昭和15年4月1日:34,700円(269,500円)

昭和15年4月2日から昭和16年4月1日:69,300円(304,100円)

昭和16年4月2日から昭和17年4月1日:104,000円(338,800円)

昭和17年4月2日から昭和18年4月1日:138,600円(373,400円)

昭和18年4月2日以後:173,300円(408,100円)

※(かっこ)内数値は、加給年金額の合計額

女性の夫の場合、老齢厚生年金が月18万円ほど。さらに昭和14年生まれなので、加給年金として年間27万円ほどプラス。単純計算、40歳から60歳の20年間で540万円余分にお金を得ていたことになります。夫が年上過ぎることでイヤな思いをすることもゼロではありませんでしたが、良いこともあるもんだと実感したといいます。

年上夫が亡くなったときは「中高齢寡婦加算」がもらえる

しかしどんな夫婦であっても、永遠の別れは訪れます。夫は85歳で死去。亡くなる直前まで元気だったこともあり、60歳の妻のショックは大きく、絶望のなかにいたといいます。

――枯れるほど泣きました

――夫なしで、どう生きていけばいいのか

一家の大黒柱を亡くした家族に対する社会保障が遺族年金。亡くなった夫が会社員や公務員で、要件を満たしていれば、妻は遺族厚生年金をもらうことができます。その金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。夫は月18万円の厚生年金をもらっていたので、国民年金が満額だとすれば、遺族厚生年金は月8万4,000円ほどに。

自身が年金を受け取るまであと5年。遺族年金と合わせると、月15万円強に。これだけあれば年金だけで暮らすのも現実的。

――あと5年。それまでパートに出れば……

そんな皮算用のなか、さらに「年の差婚」のメリット。夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻であれば、「中高齢寡婦加算」プラス。その額は年間61万2,000円。つまり遺族年金と合わせて、月13万5,000円になる計算です。これだけあらば暮らしていける……一気に先が明るくなりました。

このようにみていくと「25歳差の年上婚」だったことで、加給年金と中高齢寡婦加算を合わせて、トータル800万円以上もプラスαでお金を得ていたことに。年の離れた年の差婚。年が離れていればいるほど、「年金」という点では得する可能性があります。女性も「夫が25歳年上で良かった」と、思わず感謝を口にしたといいます。

[参考資料]

日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』

日本年金機構『加給年金額と振替加算』

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