大堤陸橋の耐震補強を設計業務で偽装 北上市、損害賠償請求へ

生活道路として使われている大堤陸橋。耐震補強設計の図面などが偽装され市に納品された=北上市相去町

 岩手県北上市は14日、大堤陸橋(相去町、137.5メートル)の耐震補強設計業務について、委託業者が、工事に必要な構造計算書と図面の一部を偽装して納品していたと明らかにした。業者は理由を「設計が間に合わなかった」と説明し、市は契約の一部解除を通知した。委託額1799万円の半分は国交付金を活用。返還を求められる可能性もあり、損害賠償請求する。

 業者は一関市萩荘の一測設計(藤原勝広社長)。北上市によると、2019年度に業務委託し、20年2月に完了した。工事は東北線に架かる他の陸橋工事との兼ね合いで着手が遅れ、今年1月からJRと協議。納品された構造計算書などを確認し、不備が分かった。

 構造計算書や図面には別の橋のデータなどを使用。鉄筋コンクリートを巻く橋脚の補強図も根拠のない配置だった。別の技術者が押印し確認したとする虚偽の報告書も作られ、市に渡したCDにはデータが保存されていなかった。

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