本拠地移転のデンソーバレー部 福島県郡山市街地に練習拠点構想 地域活性化に弾み 下部チーム育成、市民教室も

品川市長に要望書を手渡す杉岡部長(右から2人目)。右は福田事務局長、左は野崎管理者

 福島県郡山市に本拠地を移し、今秋から国内トップリーグ「SVリーグ」に参戦するデンソー女子バレーボール部は14日、練習用体育館を旧豊田貯水池北東側の旧豊田浄水場跡地(同市豊田町)に整備する構想を示した。関係者が品川萬里市長に用地の借用を申し入れた。手続きが順調に進めば今年度内にも着工し、3年後の2027(令和9)年度の完成を目指す。ホームアリーナとなる宝来屋郡山総合体育館のある開成山地区では民間資本を導入した体育施設の整備が進んでおり、体育館が実現すればスポーツによる地域活性化に弾みがつきそうだ。

 デンソー女子バレーボール部は愛知県西尾市から郡山市に拠点を移し、「福島デンソーエアリービーズ」として10月に開幕する国内最高峰「SVリーグ」に参戦する。本拠地への練習拠点の整備は同リーグの参加要件の一つ。

 練習用体育館はデンソーが建設する。バレーボールコート3面の他、選手らのロッカールームや宿泊設備、事務所などの機能を備える。トップチームの練習以外に下部組織のU15(15歳以下)、U18(18歳以下)チームの育成拠点となる。市民が利用できる運動施設としてバレーボール教室の開催などを見据え、災害時の避難所など防災拠点としての活用も検討する。

 デンソーは体育館の整備先を巡り、公式戦会場となるホームアリーナへの近さや市街地への立地、1ヘクタール程度の広さなどを考慮し、市と協議。浄水場跡地は宝来屋郡山総合体育館から直線距離で約400メートルと近く、周辺に高校などが立地するため、適地と判断した。

 旧豊田浄水場跡地は市有地で、2019年度に浄水場施設の解体・撤去工事が終了。昨年2月までは近隣の市営立体駐車場の新設工事に伴い、代替の駐車場として使用されていた。

 14日はデンソーエアリービーズの杉岡憲部長が市役所を訪れ、品川市長に要望書を手渡した。杉岡部長は「(新たな拠点で)地域の方と触れ合うことで、地域に溶け込んだチームになりたい」と本拠地移転、体育館整備への熱意を伝えた。品川市長は「(用地借用の)検討に取りかかり、円滑に進められるよう最善を尽くす。バレーボールを通じた地域貢献に期待したい」と土地の提供に前向きな姿勢を示した。エアリービーズの福田実事務局長、野崎弘志市上下水道事業管理者らが同席した。

 宝来屋郡山総合体育館は来春完成をめどに観客席を5千席以上に増設し、大型映像装置が設置される。HRS開成山陸上競技場、ヨーク開成山スタジアム(開成山野球場)なども改修が行われている。

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