松山英樹、初出場からの連続予選通過を12へ伸ばし優勝争いに食い込むか 全米プロゴルフ選手権

16日、アメリカ、アリゾナ州のバルハラゴルフクラブで今季メジャー第2戦となる全米プロゴルフ選手権が開幕する。

出場する日本勢は、松山英樹久常涼中島啓太金谷拓実の4名。

この中で最も期待がかかる松山は、先週のウェルズファーゴ選手権に出場予定だったものの、背中を痛め第1ラウンド開始前に棄権。

全米プロに向けて不安を感じさせたが、バルハラGCに姿を現すや、コースチェックやショット練習をこなし、体の状態は上向きであることを感じさせている。

実戦は4月のマスターズ以来となる。試合勘の部分が気になるが、全米プロは初出場から11連続予選を通過している大会。今回も難なく予選を通過し、上位に顔を出してくるのではないだろうか。

他の日本勢3名にとって、松山は圧倒的な存在であるし、松山自身もそうでなければいけないと感じているだろう。

久常は2戦目、中島は5戦目のメジャーとなり、それぞれ初の予選通過を目指す。金谷はメジャー10戦目で予選通過は1回。プロ転向後、初の予選通過を目指す。

そんな日本の若手の前で、今回もHIDEKI MATSUYAMAを見せる。

◆松山英樹はマスターズ以来の実戦「先週できなかったのは誤算」 背中の痛みは回復傾向

■メジャーで唯一初出場から予選落ちなし

松山は4大メジャーで唯一予選落ちがない。マスターズは2014年、全米オープンは16年、全英オープンは16、18、19年に予選落ちしているが、全米プロは予選落ちがなく、今回、予選を通過すると、初出場からの連続予選通過を12に伸ばす。

2021年にマスターズ制覇するまでで、最もメジャータイトルに近いづいたのが、5位タイでフィニシュした17年の全米プロ。最終日、首位で後半に入ったものの逆転され、悲願達成とはならなかった。

順位だけ見ると、同年の全米オープンは2位タイでフィニッシュしており、これが最もメジャータイトルに近づいた大会という見方もできるかもしれないが、この時はブルックス・ケプカが独走状態だった。

順位だけでなく試合展開も踏まえた場合、マスターズ制覇前に最もメジャーに近づいた大会は全米プロ。大会のイメージは悪くないだろう。

■2014年大会35位タイ

バルハラGCで開催された2014年の全米プロでは、松山は35位タイ。ティーショットの精度が良くなく、グリーン周りからのアプローチでしのいでの、この順位だ。

4日間通じてのフェアウェイキープ率が51.79%で71位。ティーショットのスコア貢献度を示す、SG:オフザティーが-0.470で53位だった。一方、SG:アラウンドザグリーンは16位で、グリーン周りからのアプローチショットがバルハラGCでのプレーを支えた。

現在の、松山のグリーン周りからのショットの引き出しや精度は、2014年頃よりも高水準。2014年の年間のSG:アラウンドザグリーンは0.198で、43位だったが、今季現時点では0.712で2位

ティーショットでフェアウェイに置くことができれば、さらに、それを高いパーオン率につなげられれば、パーでしのぐだけでなくバーディ増につながり、2014年大会よりも上の順位で終えることができるはずだ。

■マキロイに対抗できるか

メジャー2勝目に向けては、ローリー・マキロイに勝つ必要がある。マキロイは2014年大会で優勝し、2012年大会以来の全米プロ2勝目をあげた。

そして今季、先週のウェルズファーゴ選手権では2位に5打差の圧勝。その前に出場したPGAツアー唯一のダブルス、チューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズでも優勝しており、目下PGAツアー2連勝中。

パワーランキング(優勝予想)では、最近5戦でマスターズを含めて優勝4回、2位1回のスコッティ・シェフラーを抑えて1位。メジャー5勝目に向けて死角なし、と見られている。

そんなマキロイに対抗するのは容易なことではないが、磨かれ続けているグリーン周りからのアプローチショットがあれば、それは可能だろう。

2014年大会の前にバルハラGCで全米プロが開催されたのは2000年。この年の優勝者はタイガー・ウッズ。

ウッズ、マキロイ、そして…。そこに現時点で世界ランキング15位の松山の名前が刻まれても不思議ではない。

◆初参戦は青木功、松山英樹は今年で12年連続出場 日本人が「全米プロ」で残した成績は?【日本勢戦績振り返り】

◆【最新】松山英樹、久常涼、中島啓太、金谷拓実は今いったい何位……世界ランキング

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

© 株式会社Neo Sports