大手語学学校の「外国人講師が好きな日本語」の第1・2位とは 聞き取り調査で分かった“深イイ話”

外国人講師が好きな日本語とは ※画像はphotelibrary

「駅前留学」のキャッチコピーを掲げ、語学教室を運営するNOVAランゲージカンパニー。同社所属の外国人講師を対象に今年2月“日本語で最も好きなフレーズ”をアンケート調査したところ、「仕方がない」がトップだったという。日本語ならではのニュアンスを持つフレーズは多数あるが、どういった言葉やニュアンスに外国人講師は魅力を感じているのか――。

調査対象は、日本在住の外国人講師287人。日本語で最も好きなフレーズ部門で1位に輝いたのは、前述のように「仕方がない」(22票)。この言葉に続くのは、2位の「お疲れ様でした」(13票)と3位の「大丈夫です」(12票)だ。その他にも人気を集めたのは「ヤバい」「面倒くさい」「頑張って」などなど。同社によれば、外国人講師がこれらの言葉を好む理由は総じて「便利」で「多用途」だからとのこと。“どんなときでも使える”万能な日本語が外国人講師の心にはヒットしているようだ。

日本人は当たり前に使うこれらのフレーズだが、外国人講師たちにはどう響いているのか。「仕方がない」を中心に、そのフレーズが好きな理由を深堀りするべく、弊サイトでは同社を取材した。以下で紹介する内容は、同社・英会話企画部の木島さんが社内で外国人講師に対し、聞き取り調査したと結果である。

【1】1位「仕方がない」が好きな理由

・問題に文句を言うことに集中しすぎず、すでに起こってしまったことを変えるためにできることは何もないと判断し、そのかわりに次にできることに進もうという考え方が好きだ。“Keep calm and carry on”(平静を保ち、ふだんの生活を続けよ)のようなもの。

・英語の"It is what it is"(どうしようもない)のようなフレーズと同様で、自分ではコントロールできない問題を超えて、コントロールできることに集中することができる。

・ストレスを受け入れて手放すことを表現しつつ、物事を前進させることもできるので、気に入っている。

「仕方がない」を好きだと思う理由には、"前向きな第一歩”と捉える声が多く寄せられた。

■日本ならではの「お疲れ様でした」に含まれる“ニュアンス”

【2】2位「お疲れ様でした」が好きな理由

・努力を分かち合うという感じがして好きです。

・カジュアルな場面でもフォーマルな場面でも使える。また、頑張ったことを称える言葉があるのは、日本人の考え方や勤勉さを垣間見ることができる。

・英語にはこれに相当する表現がない。"Thank you for today"(今日はありがとう)との表現が近いが、友人同士などカジュアルな場で使う表現であり、仕事の場で使うと多くの場面で失礼となる可能性がある。そのため、誰かが何か特別なことを手伝ってくれたときくらいしか使えない。

・このフレーズが感じさせる仲間意識がとても好き。相手へと感謝し、称賛すると同時に、仕事の労力が彼らを疲れさせたかもしれないことを認めている。その“身を捧げる行為”に感謝するフレーズ。

「お疲れ様でした」には、"仲間意識”を感じ取るという意見が社内の講師から多く寄せられたとのこと。その他、謝るときや誰かの注意を引きたいときなど、さまざまなシーンで使える多機能な「すみません」というフレーズには「地域社会全体の平和を維持するのに役立つ幅広いコミュニケーションをカバーしていると思う」と指摘する声もあがったという。

また、「頑張って」には、「“Thank you”や“Good luck”よりも『ガンバッテ』のほうが魅力的なのは、”諦めるな”という意味で使えること。戦い続けようという意欲を高める言葉でもある」という回答が寄せられた。

日常的に使っていると、ふだんはなかなか意識しない日本語のフレーズが持つ魅力。外国人だからこそ気がつく視点の数々に、言葉の面白さを感じることができる。

© 株式会社双葉社