【韓流・韓国旅行】イ・ジェフン主演『捜査班長 1958』から思い出す全羅南道・高興郡、小鹿島の旅

全羅南道・高興、小鹿島の対岸にある鹿洞港

ディズニープラス スターで独占配信中の『捜査班長 1958』。1971年から1989年にかけて放送された人気刑事ドラマ『捜査班長』の新シリーズで、主演のチェ・ブラムが演じた班長パク・ヨンハンの若かりし時代を描いた作品だ。

地方で牛窃盗犯検挙率3年連続No.1を誇るヨンハン(イ・ジェフン)は、1958年にソウル鐘南署・捜査1班に赴任する。

曲がったことが大嫌いな熱血刑事ヨンハンは、「狂犬」の異名をもつキム・サンスン(イ・ドンフィ)、怪力の持ち主チョ・ギョンファン(チェ・ウソン)、エリート新人警官ソ・ホジョン(ユン・ヒョンス)とともに、破天荒な捜査方法で次々と事件を解決していく。

捜査1班のユ班長(チェ・ドクムン)を含め、汚職まみれの国家権力をものともせず、果敢に悪に立ち向かう5人の姿を見ていると胸がスカッとする。

■『捜査班長 1958』のワンシーンから思いを巡らせた全羅南道・高興、小鹿島の旅

『捜査班長 1958』第7話で、ヨンハンが謂れのない罪で市民に罵倒される元ハンセン病患者の女性を助ける。その後、証券会社の社員がビルから転落死する事件が発生。他殺の疑いがあるものの、犯人探しに難航したとき、ヨンハンの親切に心を動かされた元ハンセン病患者の目撃証言によって事件は進展する。

ハンセン病患者への偏見が強かったという時代背景が盛り込まれたこのシーンを見て、かつてハンセン病患者を強制収容した韓国のある施設を思い浮かべた。

その施設は、韓国南東部にある全羅南道・高興(コフン)郡にある。

高興郡全体が半島で、標高608メートルの八影山(パリョンサン)を含む多島海海上国立公園に属し、美しい南海と島々から構成されている。牡蠣やウナギなどの海産物、そして柚子の産地としても有名だ。

鹿洞港そばの食堂で食べたイワガニの醤油漬け定食

そんな高興半島の南西端から1キロほど離れた場所に、小鹿島(ソロクト)という島がある。現在は本島と橋で連結されている。

幼い鹿の形に似ていることから名づけられたという愛らしい島名とは裏腹に、この島には日本統治時代にハンセン病患者を隔離する場所だったという哀しい歴史がある。

1916年に朝鮮総督府令第7号により「小鹿島慈恵医院」が設立され、患者たちはそこに強制収容された。感染を憂慮して、患者の子供たちは生まれた瞬間から職員地帯で生活し、病舎地帯に住む親たちとはひと月に一回だけ、愁嘆場と呼ばれる境界線上の道で面会することを許されていたという。

同医院はその後何回か改名され、現在は「国立小鹿島病院」として、ハンセン病患者の診療や療養、自立支援、ハンセン病に関する研究業務を管掌する国家機関として運営されている。敷地内には当時、ハンセン病患者の検屍や監禁を目的とした2棟の建物が残されており、見学するのもはばかれるほど胸が痛かった。

日本統治時代にハンセン病患者を拘束、監禁する目的で使用された建物

1960年代にハンセン病患者とその子供たちのために献身的に奉仕活動を行い、病気に対する偏見の解消に貢献した2名のオーストリア人女性がいる。2人を讃える功績碑に思わず手を合わせた。

ハンセン病患者とその子供たちに献身的に奉仕活動を行った2名のオーストリア人女性を讃える功績碑

●高興へのアクセス

ソウル高速バスターミナルから高興公用バスターミナルまで約4時間15分

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