長期的な視点で「利益」の最大化を目指す…上げ相場・下げ相場のどちらにも対応可能な「ポートフォリオ」を組むコツ【株式投資のプロが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

株式市場には必ず「上げ相場」と「下げ相場」が訪れます。上げ相場になれば利益の最大化を狙い、下げ相場のときには損失を最小化できる「ポートフォリオ」を組むことが理想的といえるでしょう。本記事では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、長い目で見て大きな利益を得られる「ポートフォリオの組み方」のコツについて解説します。

成長株、割安株、現金をバランスよく混ぜる

上げ相場にも下げ相場にも対応できるポートフォリオとしてご紹介するのは、成長株と割安株と現金をバランスよく混ぜるポートフォリオです。これら三種を混ぜておけば、上げ相場にも下げ相場にも対応でき、長い目で見て大きな利益を得られるのではないでしょうか。ひとつの考え方、ひとつの方法として、参考になさってください。

なお成長株とは、将来の高い成長が予測できる銘柄のことだと、ここでは定義します。会社の新しさや古さ、商品の新しさや古さに関係なく、着実に利益を積み重ねて、純資産や配当をハイペースで増やし続けている会社が、それに当たります。

ですから、新興の急成長企業も、有名な大きな会社も、ここでいう成長株となりえます。しかし成長株は、現在の価値に比べて株価が割高傾向になっていることが多いです。

割安株とは、現在の価値に比べて株価が割安傾向になっている銘柄のことだと、ここでは定義します。高い成長性は期待できないかもしれませんが、株価が割安であるためそれが一定水準まで値上がりする可能性が十分にあり、投資先として悪くありません。

上げ相場のときは成長株が大きく値上がりしやすい

上げ相場のときは、成長株が大きく値上がりしやすいといえます。株式市場参加者の心理が積極的になっていて、明るい未来が予想され、成長株への投資が盛んになるからです。ですから、それをポートフォリオに組み入れておけば、そこで利益を最大化することができるのではないでしょうか。

また、上げ相場のときは、割安株にもそれなりの値上がりが見込めます。成長株など人気銘柄への資金流入が一定量を超えると、次の投資先としてあまり人気のない割安株にも注目が集まるからです。成長株ほどの値上がりにはならないかもしれませんが、一定の利益は得られるでしょう。

なお当然のことながら、いくら株式市場が上げ相場になっても、現金は値上がりしません。

下げ相場のときは割安株が下がりにくく、現金で安く株を買える

一方、下げ相場のときは、成長株が大きく値下がりする可能性があります。

もともと成長性という将来への期待が株価に反映されており、現在価値と比べて割高になっていることも多い成長株ですから、下がるときは大きく下げてしまうのでしょう。

ただし、下げ相場のときは割安株が下がりにくい傾向を持ちますし、銘柄によっては値上がりすることも珍しくないでしょう。もともと大きな期待を受けておらず、現在価値に比べて割安であるのが割安株ですから、その下げ幅が一定以内に収まったり、相場と関係なく値上がりしたりするのも、当然といえば当然です。

たとえば、PBR4倍の成長株ならば、下げ相場でどこまで下がるかわかりにくい面がありますが、PBR0.3倍の割安株ならば、下げ相場でもあまり下げなかったり、値上がりしたりしても、不思議ではありません。

そして、下げ相場のときは現金の力が大きく発揮されます。下げ相場で株価が安いときにこそ株を買うべきであり、現金こそがそれを可能にするのです。同じ物を買う場合、価格が高いときと安いときのどちらで買ったほうがよいかは、自明でしょう。株式だって、同じなのです。

上げ相場のときは割高すぎて手が出せないような成長株も、下げ相場のときに買っておけば、そのあとに大きな利益が期待できます。上げ相場では価値を持たない現金ですが、下げ相場では重要な役割を持つのです。

なお、「下げ相場でも空売りをすれば利益を最大化できる」という意見もあるでしょう。空売りとは信用取引の一種で、株を借りて売り、返済日までに安値で買って返し、差額を利益にする方法です。

もちろんそうなのですが、現物取引と比べて各種費用がかかる、逆に値上がりした場合の損失が理論上無限大になるなど、リスクの大きい方法ですので、しないに越したことはないでしょう。

成長株と割安株と現金をバランスよく混ぜる

ポートフォリオに成長株と割安株と現金をバランスよく混ぜておけば、上げ相場にも下げ相場にも対応でき、長い目で見て大きな利益を得られるのではないでしょうか。

上げ相場のときは、成長株が大きく値上がりしやすいといえます。

下げ相場のときは、割安株が下がりにくい傾向を持ちますし、銘柄によっては値上がりすることも珍しくないでしょう。また、下げ相場で株価が安いときにこそ株を買うべきであり、現金こそがそれを可能にします。

川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO

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