御書印でつながろう まちの書店×本好き、全国プロジェクトに県内5店舗が参加

御書印帖にオリジナル印を押す書店員=山形市・八文字屋本店

 県内の書店5店舗が、それぞれオリジナル印「御書印(ごしょいん)」を提供している。書店や本との出合い創出を目的に、全国と台湾の480店舗が参加する「御書印プロジェクト」の一環。ネット書店の台頭や電子書籍の普及などで書店業界が斜陽化する中、まちの書店が新たなツールで本好きの人たちとつながろうと取り組んでいる。

 プロジェクトは小学館などが書店に呼びかけ、2020年3月に始めた。各店は専用台紙「御書印帖(ちょう)」にオリジナル印を押すか、用意した御書印紙を手渡す。地元作家の本のタイトルや一節といったフレーズを書き込む店もある。御書印代は300円。御書印帖は無料。50店舗を巡ると、事務局が「巡了印」を押す。

 県内で参加するのは▽トミヤ書店(庄内町)▽八文字屋本店(山形市)▽阿部久書店(鶴岡市)▽戸田書店三川店(三川町)▽戸田書店山形店(山形市)。オリジナル印は店名を刻んだものや、出羽三山神社の山伏に扮(ふん)した猫、本県特産のサクランボや将棋の駒をあしらったものなど多彩だ。フレーズは鶴岡市出身の文芸評論家高山樗牛の言葉や、「よぐ来たの~」といった庄内弁が目を引く。

 トミヤ書店は県内で最も早く20年10月に参加した。北川貴大社長は「初めはなじみがなく、御書印を購入するのは書店巡りを趣味とする県外客が多かった」と話す。最近は3巡目という人や地元の人が訪れるようになり、認知度の高まりを実感している。

 今年3月に加わった戸田書店山形店は、怪談作家・黒木あるじさん(山形市)の著書の前書きにある言葉を入れた御書印紙を用意している。買い求める客の中には書籍や文具などを併せて購入する人もおり、店の売り上げにもつながっているという。八文字屋本店の担当者は「観光客が訪れるスポットの一つになっているようだ」と県内観光と絡めた相乗効果に期待している。

「御書印プロジェクト」に参加する県内5店舗の御書印(一部、提供データをプリント)

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