ルーキーが宮里藍からの金言で学び「自分では気づけなかった」 初V目指す選手も“目からうろこ”…トークセッションの内容は?

ルーキー・吉澤柚月(写真)らブリヂストンと契約する若手選手が宮里藍のトークセッションで“学び”を得た(撮影:福田文平)

<ブリヂストンレディス 事前情報◇14日◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)◇6731ヤード・パー72>

大会開幕を2日後に控えた火曜日の会場で、ブリヂストンのアスリートアンバサダーを務める宮里藍が、同社と契約を結ぶ若手選手からの質問に答える恒例の『次世代トークセッション』に参加。選手たちは、その一言ひとことにうなずきながら、真剣に耳を傾けた。

これがプロになってからは初めての参加となるルーキーの吉澤柚月も、ここで学んだひとり。「小さい時からテレビで見ていて、世界で戦っているのがすごいなと思っていた」という印象を抱く大先輩からの言葉が染みわたったようだ。

この日、質問したのは『ミスをした時の切り替え方』。それを引きずってしまうことに悩んでおり、アドバイスを求めた。「何か行動をすることでしか切り替えられないって言われました。数を数えてみたり、何か食べたり。怒ると重心が上がるから、それを落とすためにジャンプしていたという話も聞けました。それは自分では気づけなかったこと。やってみようと思いました」。宮里からの直接の言葉はもちろんだが、周りにいた選手たちが同じような悩みを持っていることを知れたのも、大きな収穫になったと話す。

また「藍さんを見るだけでうれしい」と憧れを話す桑木志帆は、これが3回目の参加。「毎年いろいろな質問の答えを聞きながら勉強しています。自分がルーキーの時に抱えていた悩みを、違う選手が質問したら『自分もそうだった』と思える。藍さんの言葉で、ここまでくることができた部分もあるし、いい振り返りにもなりました」。ほかの選手の話も自分の参考になると考えるのは、吉澤と共通している部分だ。

そのうえで今年“目からうろこ”だったのが、宮里が現役時代にノートを取り、それを不調時などの参考にしていた話。「いい時、悪い時の差を見つけて、悪い時はこれをしているからダメ、いい時はこれをしているから良かったということを把握するのが大事だと気づきました」。現在、ショットの不調を感じているという桑木にとっては、宮里が実践していたハーフショットを繰り返すという練習法とともに、悲願の初優勝へ向けての金言だった。

このセッションを繰り返すなかで、宮里は選手たちの変化を感じ取っているという。「アマチュア選手もレベルが高いしプロと遜色がない。具体的な質問が増えています。最初は『緊張している時はどうしてましたか?』とかだったのが、今は『調子が悪い時にこうなってしまうけど、そういう時にはどうしてましたか』みたいに。いろいろと考えてプレーしているんだなと思います」と感心しているという。

そして、選手たちは単純にアドバイスを求めているだけではないと宮里は考えている。「(解決策は)無意識に分かっている。しっかりと言語化できるスキルはあるから、それは自分でもできる。(大事なのは)私が話すことで、自分がやっていることの正しさを確信すること。選手たちの背中を押してあげるのが、この会でやるべきことだと思っています」。

マンデートーナメント(主催者選考会)をクリアした16歳のアマチュア・黒崎美羽(ECC学園2年)とは、“マンツーマン”で話し、その様子については「対談でした」と宮里は笑う。ただそれは選手にとっては貴重な経験で、黒崎は「プロがしていること、考えていることで自分と違う部分が分かりました。練習の仕方とかいろんなことが学べてよかったです」と感激した様子で話していた。

「他の選手の質問を聞いて、横でうなずいている人もいる。悩みを共有する場はツアーではない。そこで感じるものも選手同士であるはず。ひとりじゃないなと思って励みになる。ひとりひとりの質問に答えるのはすごく大変ですけどね(笑)」。この恒例行事は選手にとっても、また宮里にとっても貴重な場になっている。(文・間宮輝憲)

【トークセッション参加選手】
■プロの部
阿部未悠
川崎春花
桑木志帆
佐藤心結
鶴瀬華月
小西瑞穂※
與語優奈※
吉澤柚月※
※はルーキー
■アマチュアの部
黒崎美羽

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