日本人に多い「寝酒」の習慣…医師が「いますぐ辞めるべき」というこれだけの理由【専門医が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

眠れない不安の解消や、入眠をよくするためにお酒を飲む「寝酒」。寝酒をする人は特に日本人に多いといわれますが、この寝酒の習慣は、さまざまな「悪循環」を引き起こすと、『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)著者で医師の尾形哲氏は警告します。寝酒と睡眠の関係について、また寝酒の習慣が日本人に多い理由について、詳しくみていきましょう。

眠れない不安から寝酒にハマってしまい…

出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋
漫画:松本麻希 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋
漫画:松本麻希

寝付きはよくなっても、寝酒は眠りを浅くさせる!

「寝酒」という言葉が一般化しているように、睡眠とお酒が深く結びついた生活を送る方がいます。しかし、寝酒の習慣に陥ると、睡眠の質が低下してしまいます。

アルコールには鎮静効果があり、就床から入眠までの時間が短くなります。この作用で眠れるように感じるのですが、睡眠後半ではむしろ眠りが浅くなります。お酒の利尿作用でトイレに行きたくなって、目覚めることも。

寝酒が習慣になると耐性がついて、飲酒量が増える原因にもなります。

[図表1]寝酒と不眠の悪循環 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

寝酒が肥満の原因となるのは、睡眠中のアルコール分解が覚醒時より遅いから!?

睡眠中は、アルコールの分解も遅くなります。肝臓では脂肪よりもアルコールの分解を優先するため、体内にアルコールが残っていると脂肪がエネルギーに変わらずに、蓄積されやすくなるからです。

飲酒後に起きているグループと、1時間後から4時間眠ったグループに分け、血中アルコール濃度を調べた研究があります。すると、眠ったグループは、起きていたグループの約2倍のアルコールが体内に残っていたと報告されています(図表2)。

[図表2]睡眠時と起床時のアルコール分解比較 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

眠れない人と、お酒にハマる人…共通点は「真面目な人」

眠れない人と、お酒にハマる人には、共通点があると思っています。お酒にハマるのはルーズな人と思われがちですが、逆のことも多いです。

真面目ながんばり屋さんほど心身が疲れやすく、疲れているのに眠れず、お酒に頼りやすくなるようです。いい人や優等生タイプの人も、気疲れしやすいといえます。

そのほか、かたくなで完璧主義な人やのめり込みやすい人も要注意。とはいえ、ストレスが多く疲れていると、誰でも陥る可能性があるのです。

[図表3]お酒にハマりやすいタイプ 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

寝酒をする日本人が多いのは、災害の多さが関係している!?

寝酒をする人は特に日本人に多いといわれます。理由は特定できませんが、日本人が多く持つ遺伝子が影響している可能性も。というのも、ポジティブさに関わるセロトニントランスポーター遺伝子のうち、日本人はセロトニンが働きにくい不安遺伝子(SS型)を持つ割合が高いのです。島国で災害が多いお国柄が影響しているかもしれません。

※ Constantin R Soldatos,et al. Sleep Med. 2005;6(1):5-13.

[図表4]不安遺伝子の所有率比較 出典:『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(KADOKAWA)より抜粋

尾形 哲
医師
一般社団法人日本NASH研究所 代表理事

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