まるで秘密基地! いま全国で拡大中 人気のコンテナホテル 泊まってみて気づいた利点

コンテナホテル「HOTEL R9 The Yard 長浜」客室の入口

◆『羽川英樹の出発進行!』

最近注目を集めているコンテナホテルに、このたび泊まってきました!

コンテナといえば、かつてはカラオケボックスとしてよく見かけたものです。貨物輸送の変革期に余剰になったコンテナが盛んに活用されていたもので、国内初は1984年に神戸・新開地にオープンしたカラオケコンテナ「BONBON」と言われています。あれから40年、今度はホテルとして活用されるようになったというから驚きです。

【写真】コンテナホテルの様子

私が泊ったのは、滋賀県長浜市にある「HOTEL R9 The Yard 長浜」。昨年12月にオープンしたばかりのコンテナホテルです。運営するのは、千葉県に本社を置き、主に建築・不動産業を手掛ける「デベロップ」という会社。ここはコンテナホテルの最大手で、北関東を中心に、南は沖縄・宮古島まで全国92店舗を展開しています。(※「R9 HOTELS GROUP」公式サイトより、2024年5月現在)

JR琵琶湖線の長浜駅から徒歩12分、北陸道・長浜インターからも10分ほどの国道沿いに、34個の漆黒のコンテナがずらっと並んでる様はまさに壮観です。これは海上コンテナを住居用に建築したもので、堅牢な鉄骨でできています。長浜の工業団地や、旧市街にある伝統的建造物群を生かした観光スポット「黒壁スクエア」にも近く、出張族から観光客まで幅広い層が利用しているようです。

道路をはさんだ向かい側には大きなドラッグストアが夜遅くまで開いているので、日用品や食品・アルコール飲料などの買い出しにも便利です。

コンテナホテル宿泊へ、まずはフロントコンテナで自動チエックイン。パブリックスペースにはコインランドリーや飲料自販機が設置され、ここでは大型冷凍ショーケースにあるパスタかピラフが無料でもらえます。

駐車スペースは各コンテナの前にあるので、大きな荷物があっても移動はラクチン。ルームキーは暗証番号でパネルを押して開錠します。

さあ、いよいよ入室。5段のステップを上がって室内へ。そこにはいかつい外観からは想像もできないリラックス空間がひろがっていました。まさに真新しいビジネスホテルの室内なんです。部屋は13平米のダブルタイプが大半で、1人でも2人でも利用できるようになっています。室内には冷凍冷蔵庫・電子レンジ・大型テレビ、空気清浄機・Wi-Fi・ロングデスクを完備。ベッドはシモンズ社製で寝心地抜群、バスルームも清潔で部屋の窓の開閉もできるようになっています。

1棟ずつが独立しているため、隣室などの音もまったく気にならず静かに過ごせますし、コンテナという密閉空間なのでエアコンの効きもかなりいいようです。朝起きてドアを開けた瞬間に、廊下ではなく外の景色に遭遇できるのには新鮮な感動でした。

コンテナホテルは運営側から見てもメリットは大きく、建築コストが安くあがること、利用頻度によって客室数を増減できること、そして一番のメリットは災害用の緊急住居や避難所としてどこへでも移動できるという“フェーズフリー”ホテルだということです。

この住居用コンテナはホテル以外にも、建築現場での休憩室として、またコロナ禍では検査用室としても幅広く活用されていました。

まるで秘密基地に泊まるようなワクワク感もあり、静粛性やプライバシーを確保できるため、ビジネスからファミリーまで幅広く活用できそうです。多くは国道沿いや高速のインターチェンジ近くのロードサイドにあり、車での移動の方にはうってつけ。駐車場も無料で利用できます。

市街地のホテルの宿泊料金が高騰している今、車移動の旅行や出張には活用範囲が広がること間違いなし。(※標準宿泊料ひとり6200円税込みですが、季節や稼働状況によって増減します)

ちなみに関西では長浜市をはじめ滋賀県内に4店舗、そして兵庫県では加西市に1店舗の計5軒を展開しています。加西もショッピングモール(イオンモール)やホームセンター(コーナン)に近く、車移動の方にはとても便利な立地となります。

ほかにも、兵庫県では楽天が淡路島の慶野松原近くに「Rakuten STAY VILLA 淡路」(南あわじ市)を2020年7月に開業して人気を博すなど、各地で脚光を浴び始めているコンテナホテル。今後さらに全国に広がりそうな勢いです。(羽川英樹)

© 株式会社ラジオ関西