北上市立大学 街なかに 今年度、基本構想策定着手 工学系学部設置方向

 北上市は14日の市議会全員協議会で、大学設置基本調査の結果、工学部系の市立大学を設置する方向性を示した。学生や教職員確保の観点から、市街地に設置する。定員は80~120人を見込む。市は今後、大学の理念や教育目標、名称、学科、立地場所など基本構想の策定作業に入り、2030年度開学を一つの目安に準備を進める。

 市は、若年層の流出や集積する企業の人材不足を解決する手段として大学設置を検討。22、23年度は先進地視察、経営者層の調査、県内の高校生と保護者アンケートを行い、外部識者と意見交換を重ねてきた。

 その結果、▽高校生、企業とも工学系の需要がある▽国が理工系成長分野をけん引する高度人材育成を強化―を背景に、工学部系1学科とした。経営面でも定員80人以上であれば採算が取れるとし、建設開始から開学8年度までに136億~193億円の経済波及効果が見込めると試算した。

 私立大学の誘致も検討したが、「違う方向に行ったり、学生確保に苦慮したりして撤退の可能性もある」と見送り、「市の課題解決に直結した学部系統、教育課程を編成できる。公立の方がブランドがあり、志望する高校生も多い。学費面の優位性から安定的に志願者を確保できる」として市立大学とした。

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