新潟に勝って2連勝【ヘグモ浦和が上昇気流に乗るために必要なこと】(1)システムの「かみ合わせ」と「浮いた」グスタフソン、サンタナの「先制点」

浦和が2連勝。上昇気流に乗るために必要なのは? 撮影/重田航

明治安田J1リーグ第13節、アルビレックス新潟(以後、新潟)対浦和レッズ(以後、浦和)の戦いは、2-4で浦和が勝利を収めた。2連勝となった浦和にとって、今後の戦いで大切なことは、自分たちよりも下位にいる順位のチームに負けないことだ。そうしなければ、上昇気流には乗れない。したがって、5月15日第14節の京都サンガF.C.戦と5月19日第15節のジュビロ磐田戦の連戦をどうやって切り抜けるのかが重要になってくる。浦和の今後の戦い方を占う意味も込めて、新潟戦での得点と失点の場面をピックアップして具体的に試合を分析しよう。

新潟は「4-4-2」の中盤がボックス型のフォーメーション。前節のヴィッセル神戸戦から早川史哉、松田詠太郎、長倉幹樹の3人をスタメンに起用した。
一方の浦和は「4-3-3」の中盤を逆三角形にして、前節の横浜F・マリノス戦と同様のシステムと先発メンバーで臨んできた。
両チームのシステムをマッチアップさせると、「4-4-2」のボックス型と「4-3-3」の中盤が逆三角形では、浦和のアンカーのサミュエル・グスタフソンがフリーになれるポジションにいる。また、新潟の2人のセンターバック(以後、CB)の間に立つフォワード(以後、FW)チアゴ・サンタナの対処が難しい。サンタナへどちらのCBが「つく」のかをはっきりさせないといけない。浦和の先制点は、システムのかみ合わせからくるサンタナのポジショニングの優位性から生まれた。

試合開始4分、左サイドバック(以後、SB)の渡邊凌磨にボールが渡ると、すぐに新潟の2人のCBの背後にスルーパスを出す。2人のCBの間に立つサンタナがオフサイドギリギリで抜け出してゴールキーパー(GK)との1対1を制して先制点をあげる。

「ストライカーであることを証明した」サンタナ

おそらく、浦和は新潟が究極に最終ラインを高くすることを考慮して、CBとGKの間で広がるスペースを利用しようとしていたのだろう。なぜならば、渡邊にボールが渡った瞬間、サンタナはポジショニングの優位性を利用して、新潟の2人のCB遠藤凌と舞行龍ジェームズの2人の間に立って、試合開始から何度も準備をしていたからだ。
渡邊は新潟の右SB藤原奏哉のプレスをかわす。この場面、藤原にはインサイドハーフの大久保智明とグスタフソンが視界に入ったので、中にいる彼らにパスを出させないように体を持っていったのだが、渡邊はサンタナのポジションを見ていたので、縦へボールを持っていった。新潟の最終ラインの立ち位置的を1~2歩、右サイドに寄せていなければならない。右SBの遠藤が遅れて追いかけているので、カバーに入るのは遠藤で、サンタナをマークするのは左CBの舞行龍だと推測できる。そうだとすれば、左サイドは捨てて右サイドに全体を寄せていれば、サンタナの抜け出しは防げたはずだ。舞行龍はサンタナを「手の届く位置」にポジショニングしていないと突破は防げない。
GKの小島亨介は股を抜かれてゴールを決められたのだが、もう少しサンタナと駆け引きをしてもよかった。
たとえば、ニアサイドにシュートをさせるように誘って、ファーサイドで勝負するとか。GKにとっては絶対絶命の状況だったのだが、FWにとっても1対1の場面は意外と難しいので、もっと駆け引きをした動作をしてもよかったと思われる。しかし、サンタナがストライカーであることを証明した得点でもあった。

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