【山口敏太郎の現代妖怪図鑑187】道端に現れて空中に飛んでいくだけの「ブーメランババア」

ブーメランババア

オカルト評論家・山口敏太郎氏が都市伝説の妖怪、学校の怪談、心霊スポットに現れる妖怪化した幽霊など、現代人が目撃した怪異を記し、妖怪絵師・増田よしはる氏の挿絵とともに現代の“百鬼夜行絵巻”を作り上げている。第187回は「ブーメランババア」だ。

中国地方に生息しているといわれる妖怪である。基本、道端に出る路傍の怪である。さりげなく夜道に1人で立っており、声を掛けると、突然身体をくの字に折り曲げ、ブーメランのような形に変形させる。

目撃者がびっくりして見ていると、まるでブーメランのように空中を飛んでいき、見えなくなる。しばらくたつと出発点に返ってくる。ただ、それだけの妖怪である。

ブーメランという外国の道具の名前が妖怪のネーミングに使用されているのは珍しい。ブーメランはかつて飛去来器と訳されたが、あくまでブーメランというネーミングなだけに、現代において誕生した妖怪ということであろう。

ブーメランの持つ殺傷能力と、その軌道が描く不思議な楕円形が妖怪チックに映ったのだろうか。ひょっとしたら、器物の妖怪の類かもしれない。

ただ、系列的には「100キロババア」「ターボババア」と同じく、道路をハイスピードで移動する妖怪であると判断してもいいかもしれない。
だが、「ジャンピングババア」「ホッピングババア」「バスケババア」「ダンクババア」に近いような気もするので、ジャンピング系列の亜流の妖怪ではないかと思う。

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