企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」豊田市美術館で - “奇想の世界”だまし絵の代表作など約160点

企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」が、愛知の豊田市美術館にて、2024年7月13日(土)から9月23日(月・振)まで開催される。滋賀の佐川美術館などでも開催された巡回展だ。

エッシャー、創作の全貌を紹介

「だまし絵」的な作品で知られるオランダの版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャー。生き物を様式化した形で画面を埋め尽くしたり、ある形を別の形に変化させたり、あるいは3次元上ではありえない構造を2次元上に作り出したりと、エッシャーは幻視的イメージや錯視を用いて奇想的な芸術世界を展開した。

企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」は、「だまし絵」的な代表作を筆頭に、エッシャーの初期から晩年までの作品約160点を展示する展覧会。初期作品に始まり、「テセレーション(敷き詰め)」や「メタモルフォーゼ(変容)」、「幾何学的なパラドックス」といったテーマごとにエッシャーの作品を紹介し、その全貌に光をあてる。

初期のイタリア風景など

1898年オランダに生まれたエッシャーは、アール・ヌーヴォーの版画家サミュエル・イェッスルン・ド・メスキータのもとで学んだ。その後イタリアを訪れると、各地の風景を題材に、精緻な描写の版画作品を手がけている。20〜30代のイタリア時代の作品には、幾何学的な形態や建築の複雑な構造に対する関心など、のちの作品のルーツを見出すことができる。本展の序盤では、《スカンノの街路、アルブルッツィ地方》など、初期の作品を紹介する。

テセレーションとメタモルフォーゼ

1922年にスペインを旅し、グラナダ・アルハンブラ宮殿の装飾紋様に触発されたエッシャーは、動物などを様式化させた形で画面全体を埋め尽くす「テセレーション(敷き詰め)」の作品を手がけるようになった。また、これと強い関係を持つのが、ある形が別の形へと変化してゆく「メタモルフォーゼ(変容)」である。会場では、エッシャーのキャリアの転機となった独自のテセレーション作品に加えて、大作《メタモルフォーゼII》などを目にすることができる。

矛盾した空間構造

エッシャーは、空間の構造にも関心を抱いていた。それはたとえば、《滝》に見るように、3次元ではありえない構造を2次元の作品平面に作りだすことであった。本展の終盤では、こうした「幾何学的なパラドックス」に着目し、《相対性》や《物見の塔》、《滝》といった作品を紹介する。

展覧会概要

企画展「エッシャー 不思議のヒミツ」
会期:2024年7月13日(土)〜9月23日(月・祝)
会場:豊田市美術館 展示室6・7・8
住所:愛知県豊田市小坂本町8-5-1
開館時間:10:00〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜日(7月15日(月・祝)、8月12日(月・振)、9月16日(月・祝)・23日(月・振)は開館)
観覧料:一般 1,700円(1,500円)、高校・大学生 1,200円(1,000円)、中学生以下 無料
※( )内は、オンラインチケット、前売券、20人以上の団体料金
※前売券は、豊田市美術館(4月25日(木)~5月6日(月・振)および6月1日(土)~7月12日(金)販売)、オンラインチケット(6月販売開始予定)ほかにて販売
※以下は観覧料無料(要証明):障がい者手帳の所持者および介添者1人、豊田市内在住・在学の高校生、豊田市内在住の18歳以下(満18歳から最初の3月31日まで)、豊田市内在住の満70歳以上

【問い合わせ先】
豊田市美術館
TEL:0565-34-6610

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