『アンメット』麻衣役ではお嬢様キャラを好演 生田絵梨花、地上波連ドラ初主演で新境地へ

ドイツで生まれ、幼少期からピアノやクラシックバレエに親しんできた生田絵梨花。清楚なイメージのある乃木坂46のなかでも、一段と上品なオーラを纏っていた彼女は、現在放送中のドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)で演じているお嬢様キャラに、とてつもなくハマっている。

しかし、地上波連続ドラマ初主演となる『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で演じるのは、ストレスフルな教育現場で働くZ世代の高校教師・笹岡りお。どうやら、りおは感情の振り幅が大きいキャラクターで、仕事で溜まったストレスをSNSの裏アカに吐き出したりする描写もあるらしい。これまでのイメージとは大きく異なる“ちょっぴりやさぐれた生田絵梨花”を楽しむことができそうだ。

乃木坂46時代から、アイドルとミュージカル女優としての顔を両立させてきた生田は、まさに“努力の人”だと思う。とくに、2019年に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話2時間スペシャル』(日本テレビ系)を観たときの衝撃は、いまだに忘れることができない。

同番組では、生田の密着映像が流れていたのだが、「東京でのミュージカルの稽古→乃木坂46のライブに出演するために大阪に移動→到着するとすぐさまリハーサルに参加→翌日は早朝からふたたびリハーサルが開始」というような超人的スケジュールをこなしておきながら、「むしろ乃木坂に入るまでが忙しくて」とサラリと言ってのけていたのだ。

天才だと言われる人の裏には、必ず血のにじむような努力がある。生田は、それを体現している人だと思う。

昨年は、ディズニー100周年の集大成となる映画『ウィッシュ』のヒロイン・アーシャ役の日本版声優をオーディションで勝ち取り、“声”だけで感情を表現する術も身につけた。アイドル時代に培った勝負強さ、ミュージカルで鍛え上げられた声の美しさが、この抜てきにつながったのだろう。

そして、現在放送中のドラマ『アンメット』では、ストーリーの鍵を握る役柄を好演している。演じている麻衣は、脳外科医の綾野(岡山天音)と愛のない政略結婚をしようとしているちょっぴりクールなキャラクター。最初は、「合理主義な人だなぁ……」と思っていたが、回を重ねるごとに人間らしい部分も見えてきた。綾野への気持ちをさらけ出してしまいたいけれど、どうしても臆病になってしまう。でも、その弱さは誰にも見せたくない……と鎧を纏っている麻衣の心情を、生田は繊細に表現している。

また、2023年放送のドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)で演じていた主人公の元カノ・美和子も、視聴者に強烈なインパクトを残した役柄だったように思う。美和子は、主人公の向井くん(赤楚衛二)の心のなかに、10年もの間居座り続けているヒロイン。魅力的に見えなければ、「なんであんな子を?」となってしまうところだが、生田の可憐さと芯の強さが生かされた美和子という役柄は、物語に大きな説得力をもたらしていた。

これまで、王道ヒロインやお嬢様キャラを演じることが多かった生田にとって、『素晴らしき哉、先生!』のりおは、新境地となる役柄になるのではないだろうか。脚本・演出を担当する宅間孝行によると、本作は若手のひよっ子ヘナチョコ教師と令和の今に生きる高校生たちを中心に、そこに関わる人たちの人生の悲喜こもごもを描いた王道ポップスな群像劇になっているらしい。

また、生田のほかにも、明日の日本を背負うPUNKでフレッシュな若手たちと、粋でJAZZYな大人俳優たちが集結しているようなので、りおを取り巻くキャスト陣の発表も楽しみだ。

(文=菜本かな)

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