中国の老舗ブランドに新たな息吹 上海市

中国の老舗ブランドに新たな息吹 上海市

13日、「中華老字号」(中国老舗企業)「雷允上」の展示ブースで、あめを試食する来場者。(上海=新華社記者/王翔)

 【新華社上海5月15日】中国上海市で10日から14日まで「中国ブランドデー」イベントが開催され、中国の老舗ブランドが新たな一面を披露した。

 中医薬(中国伝統医薬品)の老舗「北京同仁堂」のブースでは、「醤肉包子」(しょうゆ味の豚肉まん)や「褡褳火焼」(焼き餃子に似た北京名物の食品)の香ばしい匂いが辺り一面に漂っていた。これらの料理には陳皮(乾燥させたミカンの皮)など、消化を助ける「薬食同源」の食材が加えられており、ほんのり甘酸っぱい味が肉の脂っこさを和らげるとして、多くの来場者から好評を博していた。点心(軽食、菓子)に合わせる飲み物として、同仁堂が新開発した各種効能のある草本飲料「熬夜水(夜更かし水)」「神仙水」「晚安水(お休み水)」も出展。商品名や包装でも若い消費者の心をつかんでいた。

中国の老舗ブランドに新たな息吹 上海市

13日、「新宝堂」の展示ブースで、陳皮の香りを確かめる来場者。(上海=新華社記者/王翔)

 広東省の老舗ブランド「新宝堂」は、陳皮落花生、陳皮飲料、陳皮醤酒、陳皮クリーム、陳皮ちまきなど、同省の無形文化遺産に登録されている「新会陳皮製造技法」を受け継いだ一連の新商品を出展した。端午節(今年は6月10日)を控え、定番の「粽子(ちまき」)も人気を集めた。15年物の新会陳皮のほか、桃やパンダン(タコノキの葉)、マンゴーなどの食材も加え、伝統的なちまきがおいしそうなスイーツに仕上がっている。

中国の老舗ブランドに新たな息吹 上海市

13日、「新宝堂」の展示ブースで、商品をライブコマースするスタッフ。(上海=新華社記者/王翔)

 今年のブランドデーの催し期間中に、上海市の老舗眼鏡店「呉良材眼鏡」と甘粛省の敦煌市博物館のコラボ商品が発表された。300年の伝統ある呉良材眼鏡が千年の歴史を持つ敦煌と出会い、老舗ブランドと中国の伝統文化の要素を取り入れた「国潮」の知的財産が融合し、「芸術+(プラス)」という新しい風を吹かせた。出展された一連の文化クリエーティブ商品のうち、最も目を引いたのは二つの眼鏡ポーチだった。一つはトーテム柄で、地模様に同眼鏡ブランドの独自模様から派生したデザインを採用し、ロゴの形式で敦煌壁画の要素を取り入れ、伝統と現代を融合させた。もう一つは中国に伝わる「瑞獣」柄で、敦煌という芸術の宝庫から選んだめでたい神獣を装飾として使用し、敦煌風の きらびやかさでまとめ上げている。

中国の老舗ブランドに新たな息吹 上海市

13日、「喬家柵」の展示ブースで、作りたての菓子を試食する来場者。(上海=新華社記者/王翔)

 会場の外では、各老舗ブランドが新たな消費シーンを生み出していた。1909年創業で100年余りの歴史を持つ上海の老舗食品ブランド「喬家柵」は、市内で業態を越える試みを行っている。徐匯区喬家柵に出店したカフェ「喬珈琲」では、コロンビアコーヒーに伝統的な野菜まんじゅうを組み合わせた朝食を売り出すなど、上海文化の「中洋折衷、海納百川(大きな包容力)」という特性を雄弁に物語っている。苦みと甘みを織り交ぜた米国風湯円(タンユエン、団子)は、喬珈琲で最も人気のあるアフタヌーンティーの組み合わせとなっている。(記者/張夢潔、桑彤)

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