埼玉で男女別学の高校「共学化」論争…苦情処理委、“勧告”の一部を修正 結論は変わらず 昨年度末、すでに知事から指摘されていた「条約の和訳が忠実ではない」

大野元裕知事

 埼玉県男女共同参画苦情処理委員が昨年8月末に県教育委員会に対して行った県立男女別学高校の「共学化」勧告について、文言を一部修正したことが分かった。修正は今月8日に行い、同日中に県教委に通知した。県の担当者は「(共学化を求める)趣旨に影響はない」としている。

 修正は計3カ所。いずれも国連の女子差別撤廃条約に関する記載部分で、男女の役割の定型化された概念の撤廃に向けて奨励する教育について「『男女共学』での教育」としていた文言を「男女共学その他の種類の教育」に修正するなどした。

 県の担当者によると、昨年度末に苦情処理委員が作成した報告書を大野元裕知事に提出した際に、知事から「条約の和訳が忠実ではない」と指摘があった。

 同条約の原文には「coeducation and other types of education」と記され、内閣府がホームページで公開している和訳では「男女共学その他の種類の教育」とされている。

 ただ、勧告は「男女別学であることだけでは条約違反とはされていない」とした上で、別学校における女性管理職・教職員の割合や設置学科などを問題視し共学化を求めていることから、条約に関する記載が修正されても結論に変更はないとしている。

 県は「その他の種類の教育」の解釈や取り扱いについて、4月に内閣府に照会したが、今月9日までに回答はないという。

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