ネスレ紙パッケージから伝統工芸とコラボのコースター サステナと伝統技術の普及に一役

ネスレ日本製品の紙パッケージをアップサイクルし、日本の伝統工芸「石州和紙」と組み合わせて作られたコースターが4月25日に発売された。

4月25日、取材に応じた一般社団法人アップサイクルの瀧井和篤事務局長(ネスレ日本マーケティング&コミュニケーションズ本部アカウントディレクター)は「多くの方に手に取っていただき、『紙パッケージを回収に出そう』と感じ、日本の地域の文化に触れるきっかけにしていただきたい」と期待を寄せる。

同法人は、回収されたネスレ日本製品の紙パッケージや間伐材を紙糸にアップサイクルするプロジェクト「TSUMUGI」を展開している。日本の伝統工芸とのコラボレーション第4弾として、「紙布織 山内」(島根県川本町)との共同で「TSUMUGI」と「石州和紙」を活用したコースターを制作した。

「石州和紙」は約1千300年前から歴史があり、伝統的な手漉きの技術で現在も和紙が作られている。1969年に国の重要無形文化財指定を受け、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録された。

「紙布織 山内」では、「石州和紙」をカッターで細く切ったものを霧吹きで湿らせ、ブロックの上でもみ、糸車で撚ることで紙糸を作っている。発売されるコースターは、経糸に「TSUMUGI」、緯糸に「紙布織 山内」の紙糸が使用されている。

コースターのデザインは、島根県・石見地方の伝統芸能である「石見神楽」をモチーフにしている。「石見神楽」は、豊作や豊漁を祈願するために平安時代の民衆が行った行事が始まりだと言われており、現代でもきらびやかな衣装や派手な演出が人気を博している。

「石見神楽」をモチーフにデザインすることで、伝統芸能を伝えていくという役割も担っているという。

一般社団法人アップサイクルの瀧井和篤事務局長㊨と「紙布織 山内」の山内ゆう氏

コースターを制作した「紙布織 山内」の山内ゆう氏は「『TSUMUGI』は普段使っている紙糸よりも細く、これまでにない手触りの作品ができ、自分にとっても新しい発見があった。日常で使っていただけるコースターによって、若い方にも伝統工芸の『石州和紙』を知っていただく機会が広がった」と笑みを見せる。

コラボレーションのコースターは、量販店でのノベルティとして活用されるほか、「ネスカフェ原宿」とECサイトで販売される。

ネスレ日本製品の紙パッケージの回収も進んでいる。

ある量販店では、多いと1か月で100個以上のパッケージが集まることもあるという。今後はさらに認知度を高めることを目標にする。瀧井事務局長は「アップサイクルという単語をまだ聞き慣れない人も多いため、今回のコラボレーションを通じて、より多くの方に活動を知っていただきたい」と語る。

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