香港の銀行、不動産不況による信用リスクに直面=ムーディーズ

[北京 14日 ロイター] - ムーディーズは14日のリポートで、香港と中国本土で長引く不動産不況により、香港の銀行の信用力が弱まる可能性があると指摘した。

香港の銀行は、融資ポートフォリオの半分以上が不動産と結びいており、不動産開発、投資、住宅ローンへの融資など不動産セクターへのエクスポージャーが高い。

ムーディーズのバイスプレジデント兼シニア・クレジット・オフィサーのショーン・フン氏は「香港の銀行の不動産開発・投資向け融資(香港および中国のデベロッパー向けを含む)は最もリスクが高い。これらのセグメントの借り手は、高金利、オフィスの空室率上昇、小売業の客足減少、脆弱な経営環境、不動産販売の低迷に圧迫されている」と指摘した。

中国経済の4分の1近くを占める不動産セクターは2021年以来、債務危機に見舞われ、多くの企業が債務不履行に陥り、住宅は未完成のまま放置されている。

一連の景気刺激策や規制緩和策にもかかわらず、住宅販売は低迷を続け、デベロッパーの流動性は逼迫している。

一方、香港の住宅市場は、経済的・政治的逆風の中で21年のピークから急落した。中国当局による締め付けが香港から海外移住する流れを引き起こし、中国経済の減速が潜在的な中国人住宅購入者の需要を減退させた。

ムーディーズは、香港の中小銀行は中小デベロッパーへのエクスポージャーが大きいため、大銀行に比べて不動産不況による資産リスクに脆弱だと指摘した。

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