本当に90歳!?平泳ぎ100mで2分2秒91の「世界新記録」 ご長寿スイマー「3つの元気の秘訣」とは?

日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳。(2022年・厚生労働省まとめ)最近は元気なお年寄りの方が増えている。今回は、80歳から水泳を始め90歳で世界新記録を打ち立てた「ご長寿スイマー」に元気の秘訣を聞く。

宮崎市の押川義克(おしかわ・よしかつ)さんは、昭和9年生まれの90歳。3月に千葉県で開かれたマスターズ水泳90歳から94歳の部の100m平泳ぎで「世界新記録」を打ち立てた。

押川さんは10年前から本格的に水泳を始めた。得意種目は平泳ぎ。週5日スポーツジムに通い、1日3時間、水泳の練習と筋力トレーニングを続けている。今も、体のバランスと強さは健在だ。倒立を約5分続けられるというから驚くばかりだ。

90歳とは思えない!「クジャク」のポーズ!

そんな押川さんが、スタジオで得意技を披露してくれた。その名も「クジャク」のポーズ!両腕だけで体を支え、クジャクの尾のように足をピンと伸ばして持ち上げる。体幹、筋力、バランス感覚、90歳とは思えない!!

押川さんは2024年3月に千葉県で開かれたFIAマスターズスイミング選手権で、平泳ぎ90歳から94歳の部に出場。200mで4分42秒84の「日本新記録」をマークすると、100mではそれまでの記録を2秒余り更新し、2分2秒91の「世界新記録」を打ち立てた。

押川義克さん:
世界新記録は、我ながら奇跡のように思える。80歳から始めた素人が、まさか世界一になるとは夢にも思わなかった。…しかし実は内心、世界一を目標にしていた(笑)

押川さんの妻も「まさかあなたが世界一になるとは」と驚いたという。押川さんは、「妻は夢に協力してきてくれた」と話す。毎日スポーツジムに通うのも、食事についても、常に押川さんに配慮してくれたそうだ。そのおかげで元気だったことが勝因と、押川さんは笑顔で話した。

80歳までは登山が趣味だった

押川さんは病院の医療事務として定年まで勤務。現役時代は登山が趣味だった。長野県と岐阜県にかかる飛騨山脈の「槍ヶ岳」をはじめ、日本百名山を中心に、富士山や北アルプスにも登った。80歳の時には富山県の名峰・剱岳(つるぎだけ)への登頂にも成功している。

ただ、押川さんはそれを最後に登山をやめたという。その年に御嶽山の噴火があり、犠牲者も出たことから、妻から”登山はやめてほしい”と言われたからだという。

そんな押川さんが次に打ち込むことになったのが「水泳」だった。80歳から本格的に始めたのはなぜだったのだろう?

押川義克さん:
家でじっとしているのは退屈だった。山口県に長岡三重子さんというスイマーがいた。この方も80歳で水泳を始めて、90歳で世界記録を樹立。私と同じ。そして105歳まで記録を更新された。私にとって目標の人。

平泳ぎは「脚」が大事だと言われる。足腰は登山で鍛えていたから、水泳でも強みになったのではないかと、押川さんは自己分析する。

押川さんの”元気の秘訣”は!?
・好きなことを楽しむ
・自然に順応した生活
・目標を決めて挑戦!

自然に順応、という部分、押川さんは野菜を自分で育てて食べているという。宮崎市佐土原町に約300坪の畑を持っていて、えんどう、ソラマメなどを栽培している。普通なら耕運機を使うような広さだが、すべて手作業、スコップと鍬で耕したという。梅干しやラッキョウも手作りしているそうだ。

「老鶴万里心(ろうかくばんりのこころ)」

押川さんが大切にしている言葉が、「老鶴万里心」だ。鶴は年老いても万里を飛ぶ心を持っている。年齢は関係ない!という事。押川さん流の表現では、「老年よ、大志を抱け」という気持ちだそうだ。

そんな押川さんのこれからの目標は?

押川義克さん:
6月に広島で行われる大会がある。前回は平泳ぎ200mで世界記録に1秒足りなかったので、まずは200mの世界記録。そしてその後の大きな夢は、5年後の95歳で、95歳~99歳の部の世界記録を更新したい。これが私の夢です!

90歳を過ぎてもまだまだ気力が衰える事はない。押川さんの今後のさらなる活躍と、新たな「世界新記録」に期待したい。

(テレビ宮崎)

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