BYD、欧州で2カ所目の組立工場建設を検討―独メディア

13日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国のEV大手・BYDが欧州で2カ所目の工場建設を検討中であることを伝えた。写真はBYD。

2024年5月13日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の電気自動車(EV)メーカーのBYD(比亜迪)が25年に欧州で2カ所目の組立工場建設を検討していることを明らかにしたと伝えた。

記事は初めに、9日に開催された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の自動車関連イベント「Future of the Car」において、BYDの欧州最高経営責任者(CEO)のマイケル・シュー(舒酉星)氏が、ハンガリーのセゲド市に建設予定の新エネルギー車工場に続く2カ所目のEVの組立工場の建設を検討していることを明らかにした上で、「『シーガル(海鴎)』モデルをベースにした2万ユーロ(約337万円)以下の低価格EVを欧州市場に投入し、30年までに欧州の主力メーカーに成長することを目指す」と述べたことを伝えた。

次に記事はロイター通信の報道を引用し、中国と欧州連合(EU)の関係や欧州市場の現状について紹介した。EVは現在エンジン車よりもバッテリーのコスト高が影響し、平均価格が約30%高いため、欧州の各自動車メーカーはより手頃な価格のモデル開発に注力しているという。また、BYDは昨年10月にハンガリーの首都ブダペストに2店舗を開店し、欧州市場に進出を果たした。

ハンガリーは近年、「欧州大陸の心臓部」とも呼べそうな地理的な利便性や政府主導で打ち出したさまざまな優遇政策により、海外のEV関連企業の投資を引き付けている。特に同国は中国の「一帯一路」における重要なパートナーでもあることから、車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)、欣旺達電子(サンオーダ)、億緯鋰能(EVEエナジー)など多数の電池メーカーが同国へ工場建設などで進出している。中国の習近平国家主席は先週の欧州歴訪中にハンガリーを訪れ、同国との間に18項目の協定を締結した。同国は今年下半期のEU理事会の主席国であり、習氏はハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相との会見前に、欧中関係改善の契機にしたい意向を明らかにした。

一方、ハンガリー以外のEU加盟国は、中国依存を軽減する戦略を取っており、昨年10月から中国製のEVに対して、反補助金関税の決定に関わる調査を開始している。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は6日の仏マクロン大統領と習氏とのエリゼ宮での三者会談終了後、記者団の取材に対し、「世界は中国の過剰に生産された製品を吸収することはできない。中国政府に構造的な過剰生産の問題に対処するよう促した」と述べ、中国製のEVについては中国政府が補助金で価格を抑え、欧州市場での競争をゆがめているとみて関税の上乗せなどを視野に調査を進めていることを明かした。

記事は最後に、仏AFP通信の報道や米調査企業のRhodium Groupのレポートを引用し、「自動車製造業は欧州で直接的または間接的に1400万人の雇用を創出しており、EU加盟国全体の就業人口の6.1%に相当する。EUが中国製EVに暫定的な関税を課す場合、関税率は15~30%になるだろうが、中国製EVによる欧州メーカーへの挑戦を阻むまでには至らないだろう。BYDのような強力な競争相手が欧州市場に進出しないようにするためには、EUは関税率を45~50%まで引き上げなければならないだろう」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)

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