福井でも見えた!「低緯度オーロラ」 約250年前 江戸時代の福井城下では「紅の中に青白い縦線」が目撃されていた

「太陽フレア」が連続して発生した影響で、5月11日夜から12日未明にかけてオーロラが観測された。福井では遠い存在と思われていたオーロラだが、県内のアマチュアカメラマンや研究者たちがカメラでとらえていた。
取材すると、江戸時代にも同じようなオーロラが目撃されていたことが分かった。

日本でも見られる“赤いオーロラ”

北海道で11日夜に撮影されたオーロラの映像では、星が輝く中、夜空がうっすらと赤紫色に染まっている。北海道で低緯度オーロラが観測されるのは、2023年12月以来だという。神秘的な天体ショーを一目見ようと、多くの人がカメラを空に向けた。

福井市のセーレンプラネットによると、オーロラがよく見えるのは、高緯度の60度~70度、北半球でいうとカナダやアイスランドなど。高度によって色が変わり、高度が低い場所が緑のオーロラ、高い場所には赤いオーロラが出る。

日本からオーロラを見ると、緑の部分は地平線に隠れて見えないため、高い高度で発生する赤のオーロラは見られるというわけだ。日本のような低い緯度でも見られる赤いオーロラが「低緯度オーロラ」と呼ばれている。

肉眼で真っ暗でも写真にはピンク色

11日夜、福井県内でもこの「低緯度オーロラ」が見られた。福井市のアマチュア写真家・吉田直哉さんが、坂井市三国町安島の雄島近くで撮影した写真では、日本海の上に広がる星空の一部がピンク色に染まっているのが分かる。撮影当時、肉眼では空は真っ暗に見えたという。

アマチュア写真家・吉田直哉さん:
肉眼ではオーロラとは全く分からなかった。福井でオーロラが見られるのはすごいことだし、写真が撮れたのはアマチュア写真家として興奮した。

吉田さんは、写真に写り込んだ白い線のようなものを「流れ星ではないか」と推測し、「ピンクがオーロラの領域。肉眼では分からないが、写真にすると分かるのが不思議」と振り返る。

また、オーロラは嶺南でも見られた。若狭町の水月湖で、立命館大学・山田圭太郎助教授が撮影に成功した。

立命館大学・山田圭太郎助教授:
今回、数十年に一回レベルの大きな太陽フレアだったので、この日にオーロラが見えると予想されていたので、ぜひ湖と一緒に撮りたかった。

約250年前にも赤いオーロラの記述

今回、福井県では肉眼でオーロラを見ることは難しかったが、実は約250年前の江戸時代にも県内で目撃されていたことが分かっている。

福井県立歴史博物館に、その資料が残されている。資料には、1770年に福井城下で観察された赤いオーロラと見られる記述がある。

学芸員の大河内勇介さんに読み解いてもらうと、「夕方ごろから北の方の天がいっぺんに紅のように明るくなった。紅の中に青白い縦線が出てきた。オーロラのカーテンのようなものが見えた」と、当時の様子が細かく記されていた。

肉眼では見られなかった今回の「低緯度オーロラ」。250年前、福井城下の人が肉眼で見たオーロラはどんなものだったのだろうか。

(福井テレビ)

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