わずか1カ月半で3人の逮捕者 鹿児島県警で相次ぐ現職警察官の不祥事 県民からも厳しい声

2023年12月に鹿児島県内の女子トイレに侵入しスマートフォンで女性を盗撮した疑いで、枕崎警察署地域課の巡査部長、鳥越勇貴容疑者(32)が5月13日逮捕された。鹿児島県警では2024年4月以降のわずか1カ月半で、3人もの逮捕者が出る異常事態となってしまった。

相次ぐ現職警察官の逮捕

4月8日に逮捕されたのは、曽於警察署地域課の巡査長・藤井光樹容疑者(49)。捜査資料を第三者に流出させた地方公務員法違反の疑いだった。

そのわずか10日後、知人女性の体を触るなどした不同意わいせつの疑いで、警備部公安課の警部・幸得健一郎容疑者(51)が逮捕された。

そして5月13日、鳥越容疑者が逮捕された。鹿児島県警は13日夜に急きょ、鳥越容疑者の逮捕について記者に説明した。

冒頭、牛垣誠首席監察官が「警察官にあるまじき行為であり、相次いで本県警察官の非違事案が明らかとなり、極めて遺憾。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
牛垣首席監察官のこうした謝罪も3回目となる。

女子トイレに侵入し盗撮

建造物侵入と盗撮の疑いで逮捕された鳥越容疑者。警察によると、2023年12月15日、正当な理由なく県内の女子トイレに侵入し、個室にいた面識のない30代の女性をスマートフォンで盗撮し、その場から逃走した疑いが持たれている。

盗撮に気づいた被害女性が警察に相談し、警察が防犯カメラの映像の解析や聞き込みなどを行い逮捕に至った。

警察の調べに鳥越容疑者は、「被害者に対して本当に申し訳ない。県民の信頼、警察組織を裏切るようなことをして申し訳ない」と話し、容疑を認めているという。

県民から怒りの声も 再発防止策は?

現職警察官の相次ぐ逮捕について、県民からは「びっくりした。3人目だったから」、「取り締まる側が捕まってはどうしようもない」など、県警に対する厳しい声が聞かれた。

3件の逮捕のうち、2件がわいせつ事案であることについても「女性の立場からすると、子どももいるが、同じようなことをされると思うと許せない」と怒りの声が聞かれた。

県警によると鳥越容疑者は事件当時、枕崎警察署で要人の警護や災害などに対応する警備課に所属していた。

県警が逮捕後に行った記者説明では、記者から「犯行時、容疑者は勤務中だったのか?勤務中だとしたら制服を着て見回りと称して女子トイレに入ることもできる。重要なことだ」といった質問があったが、県警は「捜査に支障がある」として明らかにしなかった。また、犯行の詳細やスマホを押収したかどうかも同様の理由で明らかにしていない。

県警は13日夜、再発防止策として、県警や県内の警察署に服務指導を徹底することなどを緊急に通達したが、牛垣首席監察官は「それぞれの事案ごとに再発防止策を考える」として、今後の具体的な方策については明言を避けた。

県民の安心安全な生活を守る警察官の相次ぐ逮捕。
信頼を取り戻す道は極めて険しいと言わざるを得ない。

(鹿児島テレビ)

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