同じGS3勝ながらワウリンカはマリーの実績の方がはるかに上と称賛!「彼は10年間“ビッグ3”に近かった」<SMASH>

男子テニス元世界ランク3位のスタン・ワウリンカ(スイス/現87位/39歳)がイギリスのスポーツメディア『Express Sport』のインタビューに登場。その中で幾多の輝かしい功績を残してきた世界1位のアンディ・マリー(イギリス/現77位/36歳)に対し、「僕のキャリアは彼のものとは比べものにならない」と称賛の言葉を送った。

マリーと言えばロジャー・フェデラー(スイス/引退)、ラファエル・ナダル(スペイン/元1位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現1位)と共に男子テニス界の「ビッグ4」の一員として名を馳せたレジェンド。そして、その4人の鉄人たちに引けを取らないプレーでファンを魅了したのがワウリンカだった。

グランドスラム(四大大会/GS)に限ればマリーと同じ3度の優勝を経験しているワウリンカ。それにもかかわらずツアー通算16勝を誇る39歳の名手は、ライバルのマリーの方が「自分のはるか上を行っている」と謙虚な言葉を口にする。マリーが自身のタイトル数をちょうど30上回っていることなどを踏まえつつ、こう続けた。

「彼(マリー)は18歳から30歳まで、常に『ビッグ3』(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)と戦っていて、トップの位置にいた。あの3人がいつも四大大会を優勝していたこともあって、彼が制したのは“3回だけ”だったが、それでも彼はいつも決勝に進んでいたし、多くの勝利を収めていた。僕のキャリアは彼のものとは比べものにならない。僕よりも多くのタイトルを持っているし、彼のレベルは10年間『ビッグ3』に近かった」
そんなマリーも最近は度重なるケガや若手の台頭もあってほとんど結果を残せておらず、2月の「ドバイ選手権」(ATP500)2回戦敗退後の会見では今夏限りでの現役引退を示唆していた。しかしワウリンカはマリーが本当に近々キャリアに別れを告げるのかは“いい意味”で疑わしいと語る。

「引退の可能性は高いのだろうけど、彼の動向を見ていきたい。引退発言は試合に負けた後の感情的なところも大きいと思う。彼がこの夏でプレーをやめるかどうかはまだわからない」

「彼は自分のゲームに情熱を持っていると思う。もちろん複雑な感情を抱いているだろうし、今の彼は勝っても負けても、気持ち的に簡単な状況ではないだろう。でも情熱と競争力がある限り、彼は前に進み続けると僕は思う」

当のマリーの真意はわからないが、テニスに情熱を持ち続けていることは確かだ。3月の「マイアミ・オープン」(ATP1000)で足首の靭帯を負傷し、戦線離脱していたマリーだが、今週フランス・ボルドーで開かれるチャレンジャー大会「BNPパリバ・プリムドール」(クレー)にワイルドカード(主催者推薦)で出場。約2カ月ぶりの実戦を迎える。

なお同大会にはワウリンカも参戦。初戦でマリーはキリアン・ジャケ(フランス/219位)と、ワウリンカはベルナベ・サパタ・ミラレス(スペイン/178位)と対戦する。2人のベテランが輝く様をまだまだ見ていたい。

文●中村光佑

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