中東欧・中東などの成長予想引き下げ、欧州開銀「2つの紛争」影響

Libby George

[ロンドン 15日 ロイター] - 欧州復興開発銀行(EBRD)は15日発表した半期報告書で、欧州新興国など支援対象地域の今年の成長率予想を下方修正した。ウクライナとパレスチナ自治区ガザでの2つの紛争と高金利が圧迫する。

中・東欧などの欧州新興国、中央アジア、中東、アフリカの約40カ国の今年の成長率予想を3%とし昨年9月の予想から0.2%ポイント下方修正した。

チーフ・エコノミストのベアタ・ヤヴォルチク氏はロイターに、今年の成長率は23年(2.5%)から加速する見込みだが、不確実要因が多いとし、ウクライナ戦争とガザ紛争の影響を挙げた。

今回の下方修正は、ドイツ経済の低迷を受け、中欧とバルト三国の成長率が予想を下回ったことが一因。

ガザ紛争の影響や、エジプトの改革の遅れを背景に地中海南部・東部の経済成長率予想は24年が3.4%、25年は3.9%に引き下げた。

一方、ポーランドとクロアチアは良好で24年の成長率は2.9%に加速すると予想。クロアチアの観光収入は新型コロナ禍前から40%増加している。

ただ高金利が成長の重しとなる。EBRD地域の5年物国債利回りの中央値は22年2月初旬から24年4月初旬の間に3%ポイント上昇した。

ウクライナ戦争を受けた国防費拡大が財政を圧迫する。

ヤヴォルチク氏は「国防費増額の動きで平和の配当は実質的に消滅した」との見方を示した。

地政学的変化は投資にも影響を与えた。EBRD地域への海外直接投資に占める中国の割合は22年の10%弱から23年には39%に拡大。特にエジプト、モロッコ、セルビアに中国マネーが流入している。

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