いま民主主義が本当の危機?

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティーを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、5月15日の放送では、特定非営利活動法人・言論NPO代表の工藤泰志に「民主主義はどこに向かっていくのか」というテーマで、日本や世界の民主主義について話を聞いた。

長野智子「工藤さん自身、民主主義の危機は感じられていますか?」

工藤泰志「そうですね。我々は政治に苛立っていまして。本当の危機とは何か、というと、国民が政治から退出しているということですね。選挙に行かないという状況になっているんですよ。我々は世論調査をこの10年間、民主主義について定点観測しています。選挙に行かない層や国民の中で、民主主義自体がいらないんじゃないか、という声が強まっている。我々は民主主義に慣れているから、そんなことありえないと思ったんだけど、考えてみると、あのアメリカでですよ。選挙結果を認めない人が国会に突入するという……」

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「そうですねえ……」

工藤「民主主義のアメリカの話ですよ。日本はまだ国会に突入する人はいない。しかしもう手がつけられない状況になっていると思います。この前の選挙でも感じたのですが、投票に行かない。本来、政治とカネが大きな問題だというなら、その怒りを自民党か何かにぶつければいいじゃないですか。でも選挙に行かないんですよ」

鈴木「はい」

工藤「行っても仕方ない。政治は変わらない。この政治家は信用できない、ということに日本はなっているわけですね。そんな新しい話じゃなくて、我々が10年前から世論調査をしていたら、2017年ごろから傾向が出ていたんですね。そのころに『政治家に課題解決を期待できるか』という問いに『期待できない』が58.7%。それがいまや74.5%まで来ているわけです」

長野「はい……」

工藤「それだけではなく、選挙で投票した人が、自分たちの代表のはずですよね。『代表だと思っていない』という人が半数を超えているんです。51.8%。数年前から10ポイントぐらい増えているんですね。日本の国民はもう政治家を信用していないんですよ。政治のムラで、自民党と公明党がどうとか、政治資金規正法の話とか、関心がないんですよ」

鈴木「(苦笑)」

工藤「やっていることが全部ダメなんです。裏金を作るとか、ありえないじゃないですか。脱法措置を党としてやっていて、いままでみんな温存していた、黙っていた、というのがありえない。多くの国民は『だから最初から信用しないんだ』となる。そこまで来た、ということを我々は自覚しなければいけない。本当の危機です」

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