厚さ1ミリのイノシシ牙の彫刻から見える5300年前の中国の蚕文明

考古学者らは黄河と伊洛河の合流地点の高台で5300年前の農業と桑蚕文明の痕跡を発見しました。

「河南を歩く・中国を読む」文化財探査取材団が13日に中国中部の河南省双槐樹遺跡に入りました。考古学者らは、この黄河と伊洛河の合流地点の高台で、5300年前の農業と桑蚕文明の痕跡を発見しています。

双槐樹遺跡は「河洛古国」と呼ばれています。発掘調査により、この場所は紀元前5000年から紀元前3000年の仰韶時代の中晩期から紀元前2500年から紀元前2000年の龍山文化の初期、大規模な三重の堀を巡らせた大規模な集落遺跡であり、今から5300年前の歴史が刻まれていることが確認されています。双槐樹遺跡はこれまでに黄河流域で発見された仰韶文化の中後期における最大規模の重要な集落で、中華文明起源の重要な時期と重要な地域を埋める重要な対象です。

河南省鄭州市文物考古研究院の研究員で、双槐樹遺跡考古学チームのリーダーである汪旭氏によると、「双槐樹遺跡では大規模な土塁、祭壇、祭祀坑、陶窯、住居跡などが発見され、豊富な文化遺物が出土している。中でも最も代表的な文化財は牙彫蚕だ」と紹介しました。

この牙彫蚕は今から約5300年前の鄭州双槐樹遺跡から出土したものです。イノシシの牙を彫刻したもので、長さは6.4センチ、幅は1センチ未満、厚さは0.1センチです。その形は現在の家蚕(養殖カイコ)に非常に似ており、これまで中国で発見された最古のカイコ彫刻芸術品として「中国の絹の起源」を探る上で重要な研究価値を持ちます。

家蚕は柞蚕(サクサン)など野生のカイコとは違って体が太く、吐く糸も柔らかく、より良い衣料を作ることができます。また、双槐樹遺跡からは大量の骨針が出土しています。これらの骨針は爪楊枝のように細く、根元には針穴があって、双槐樹遺跡の先住民が高級な衣服の縫製に使っていたものと推測されています。

汪旭氏は、「双槐樹遺跡からは大量の農作物や牙彫蚕が出土しており、青台遺跡、汪溝遺跡で発見された農業生産の遺跡と絹の実物などと合わせて、5300年以上前の中原地域には比較的整った農業と養蚕文明が形成されていたことが実証された」と述べました。(提供/CRI)

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