東南アジアの元祖帰化軍団、フィリピン代表が新たに帰化8選手を招集へ

トム・セイントフィート監督 写真:Getty Images

フィリピン代表は、6月に行われるFIFAワールドカップ・アジア2次予選の2連戦に向けて戦力補強を進めている。ここまで3敗1分と勝ち星がない状況だが、残るベトナム代表戦とインドネシア代表戦に勝利して勝ち点6を獲得したい考えだ。

ベルギー人のトム・セイントフィート監督は地元紙の取材に対し「負けず嫌いなので過去の敗戦には満足していないが、フィリピン代表選手のパフォーマンスには誇りを持っている。イラクとの対戦では相手が強すぎるので負けるかもしれないと感じるが、ベトナムとインドネシアには勝てると信じている。選手たちは大きく成長しており、残り試合で勝ち点6を取りに行く」と語った。

この目標を実現すべく、セイントフィート監督は5月初旬にヨーロッパとアメリカを視察。現地でプレーするフィリピンにルーツを持つ選手たちと面談した。監督は今回の視察で以下8選手と面談したとされており、近くフィリピン代表の招集に応じると見られている。

MFラファエル・オーベルマイアー(28)SCパーダーボルン07所属(ドイツ)
DFアンソニー・マルカニッチ(24)セントルイスシティSC所属(アメリカ)
DFジョセフ・バッカイ(23)オッド・グレランド所属(ノルウェー)
DFジーコ・ベイリー(23)ニューメキシコ・ユナイテッド所属(アメリカ)
MFディラン・デマインク(20)SVズルテ・ワレヘム所属(ベルギー)
FWヨハネス・セルヴェン(20)オーデンセBK所属(デンマーク)
FWビョルン・マルティン・クリステンセン(22)オーレスンFK所属(ノルウェー)
DFアドリアン・ウゲルヴィーク(22)レヴァンゲルFK所属(ノルウェー)

セイントフィート監督はこれらの選手と面談したことを認め、いずれもフィリピンパスポートを取得済みで、面談した選手のうち9割は6月中にフィリピン代表への招集が可能だとした。

今回名前が挙がった選手のうち、最大の注目株はドイツ2部でプレーするラファエル・オーベルマイアー。所属クラブでも右ミッドフィルダーとしてスタメンに定着しており、過去にはバイエルン・ミュンヘンの下部組織に所属していたこともある。2021年にもフィリピン代表に1度招集されたことがあるが、当時のチームの実力に満足しなかったため、この時は招集を拒否していた。

この他にも、元U-15アメリカ代表のジーコ・ベイリー、元U-20ベルギー代表のディラン・デマインク、元U-20スウェーデン代表のヨハネス・セルヴェン、元U-20ノルウェー代表のビョルン・マルティン・クリステンセンも要注目の選手たちであり、招集された場合はベトナムやインドネシアにとって厄介な相手になるだろう。

近年、自国にルーツを持つ選手たちを帰化させて代表チームを補強する動きが東南アジアにおいて顕著に見られる。この元祖とも言えるのがフィリピン代表だが、選手たちの出身国がバラバラであり、旧宗主国オランダにルーツを持つ選手たちで固めているインドネシア代表と比べると、チームとしてのまとまりに欠けるのが難点だ。

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