【ファクトチェック】「滝川クリステルさん、財団法人として太陽光事業をやっていた」→誤り

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・クリステル財団が太陽光事業を行っていた、との言説がネット上に流れた。

・同財団は、収入は寄付と一部オリジナル商品の販売のみ、とコメント。

・よってこの言説は誤り。

■ 疑義言説

5月10日、Xに以下がポストされた。

103万件表示、2,849リポストされ、6,524いいね!がついている。

同ポストは他のウェブメディアでも引用され、二次拡散されている。

滝川クリステルさん、財団法人として太陽光事業を行なっていた… | Share News Japan

そのなかで、「メディアは報じませんが小泉氏の奥さんクリステル氏は財団法人として太陽光事業を行なっています」との言説をファクトチェックする。

ファクトチェック

フリーアナウンサー滝川クリステル氏は、動物福祉・野生動物保全活動家の肩書きも持つ。滝川氏はフジテレビのキャスター時代から動物の問題に強い関心を持ち、犬猫の殺処分の現場を取り上げるなど、積極的に社会に情報発信を行ってきた。

独立後の2014年に「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル」(以下、クリステル財団)を設立、人間と動物の命が共存・共生し、調和する社会の実現を目指している。

クリステル財団の活動を見てみる。(クリステル財団:私たちの活動について

アニマルウェルフェアの向上と犬猫の殺処分を減らし、保護犬・保護猫の認知拡大や譲渡促進、動物ボランティアを増やす、「Project Zero」と、生態系の頂点に立つ絶滅危惧種を守り生物多様性保全に取り組む団体を支援する、「Project Red」、さらに動物に対する暴力や虐待を未然に防ぐために物愛護管理法の法改正に対する署名活動を推進するなど、「Project SOS」などからなる。

「太陽光事業を行っている」という言説はどこから出てきたのか。調べると、クリステル財団はさまざまな企業・団体から寄付を受けており、2020年10月から寄付先にハチドリ電力を加えている

ハチドリ電力を紹介している環境省のサイト(再エネスタート)は、「世界13ヵ国で社会問題に取り組む株式会社ボーダレス・ジャパンが地球温暖化を解決するために始めた電力サービスです。日本のCO2排出量の約4割が「エネルギー」による点に着目し、CO2ゼロの実質、自然エネルギー100%のみを販売。また、使えば使うほど自然エネルギーの発電所が増える、電気代の1%を社会貢献活動に寄付できる点も特徴です」と紹介している。

その寄付について、ハチドリ電力の「支援団体を選ぶ」ページを見ると、現時点(2024年10月14日)で応援できる団体が62、応援している人の数が、7121人となっている。寄付をする団体を選ぶことができるのが特徴だ。

応援できる団体は、活動テーマ、活動場所、応援コメントから探すことができる。活動テーマを見てみると、「子供の貧困・教育」、「国際協力」、「医療・難病」、「出産・子育て」、「障害・社会福祉」、「過疎・町づくり」、「災害復興・防災」、「動物愛護」、「自然環境の保護」、「男女平等・LGBT」など幅広い。このなかの、「動物愛護」を見ると、5つの支援先があり、その一つがクリステル財団となっている。

クリステル財団に収入の内訳について聞いたところ、「収益は寄付と一部財団のオリジナル商品の販売のみであり、そのほかの事業による収入はない」との回答を得た。

クリステル財団は、ハチドリ電力から購入した電気代の1%を寄付出来る支援団体の一つに選ばれているだけで、電力事業は行っていない。

■ 判定

以上のことから、「クリステル氏は財団法人として太陽光事業を行なっています」という言説は、「誤り」と判定する。

【Japan In-depthファクトチェックポリシー】

Japan In-depthは、NPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、ファクトチェックを実施しています。FIJが定めたガイドラインに準拠して、言説の真実性・正確性の評価・判定を行います。政治家、有識者の発言、メディアの報道、ネット上で拡散されている情報など、社会的に影響の大きな言説を対象とします。判定基準は以下の通りです。

トップ写真:滝川クリステル氏と愛犬アリス Ⓒ一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル facebook

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