宮城県警交通機動隊の新人白バイ隊員 過酷な訓練に挑む 「少しでも交通事故の抑止につながれば」

宮城県警の交通機動隊に、5人の新人白バイ隊員が配属されました。隊員は、過酷な訓練に挑んでいます。

白バイ隊員に幼い頃から憧れていた橋本來夢さん(30)は4月、警察官9年目で念願の交通機動隊に配属されました。
宮城県警交通機動隊橋本來夢巡査長「先輩から、年齢関係ないから諦めないでやりたいと思ったなら目指した方がいいよというお話をいただいていたので、異動になるまで諦めずにこれた」

宮城県警の交通機動隊には46人の隊員が所属していて、このうち27人が白バイの乗務員としてパトロールや取り締まりを行っています。
橋本さんは、あることがきっかけで白バイ隊員を目指しました。
橋本來夢巡査長「小学4年生の時に弟が目の前で交通事故で亡くなって、そこから更に悲しむ人を無くしたいという気持ちが強くなっていって」

過酷な訓練

現在は、公道でのデビューに向け、日々訓練に励んでいます。この日は、低速での走行訓練です。橋本さんは、傾斜のある道にパイロンを置いてその間を縫うように走るルーフや、幅の狭い道をゆっくり渡る一本橋など、左右のバランスが大切な低速の走行が苦手です。
橋本來夢巡査長「言われたことを頭では理解するもののできないもどかしさというか。何故できないんだろうという疑問の連続というか。悩んでばかりですね」
宮城県警交通機動隊秋葉勝訓練指導官「与えられた課題に常に疑問を持って取り組んでいるので、その姿勢はすごく真面目なところだなと」

新人白バイ隊員は、約1カ月間で白バイを操る運転技術や知識を身に付けなければなりません。そのために訓練は、1日約7時間に及びます。一息つけるのは昼食の時だけです。
橋本來夢巡査長「お腹はすきますね、本当はもっと食べたいくらいだけど健康診断があるので」

リラックスも束の間、午後は、高速での走行訓練です。デビューを懸けた試験まで残り9日ということで、指導官のアドバイスにも熱が入ります。
秋葉勝指導官「バイクのコントロールがうまいから、あっという間に速くなるからライン、うまく作れればもう1本だけいこう」
橋本來夢巡査長「課題は全部ですね。現場に出るなら常にできるようにならなきゃいけないものなので、そこができるようになるにはまだまだ訓練が必要ですね」

試験の前日は、特別訓練員との合同練習です。特別訓練員は、白バイ隊員の中でも高い技術を持ち交通機動隊にはわずか5人しかいません。先輩隊員と一緒に訓練をする機会が無い新人隊員にとって、貴重な日になりました。
橋本來夢巡査長「不安でいっぱいですね、大丈夫だとは思うんですけど。強い気持ちを持って、合格することしか考えていないですね」

試験に合格しなければ公道に出ることは許されません。試験は全部で7項目で、足を着いたり転んだり、脱輪したりしても不合格です。
練習では渡り切れないことも多かった苦手な低速走行を無事クリアし、7つの項目すべてをやり切りました。
橋本來夢巡査長「だいぶ緊張感がありました」

秋葉勝訓練指導官「橋本、おおむね基準をクリアしています。合格です。ということで全員合格になります。頑張ったね」
橋本來夢巡査長「ほっとしていることが一番ではあるんですけど。現場に出て満足するのではなくて、しっかり自分の目標とした悲しむ方々を無くすという活動を今後もしていければと思っています」

初のパトロール

5月1日に初めてのパトロールに出発しました。弟の死をきっかけに目指した白バイ隊員、長年の夢をかなえました。
橋本來夢巡査長「私たちの仕事はここからなので、今できることを一生懸命取り組んで少しでも事故の抑止につながればなと思います。やっとなれたよと弟に)伝えたいぐらい」

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