鹿児島県の伝統工芸品にも指定 「種子鋏」の魅力伝える企画展

鉄砲伝来と同時に鹿児島・種子島に伝わったとされ、長い間受け継がれてきた「種子鋏」。
県の伝統的工芸品にも指定されています。
その「種子鋏」を実際に手に取って、魅力を楽しむ企画展が鹿児島市で開かれています。

「梅木本種子鋏製作所」・・・種子島の西之表市の工房です。

鉄を熱して打ち鍛えながら成形する「鍛冶仕込み」という作業に取り組むのは、鍛冶職人の梅木昌二さんです。

この日は島に伝わる「種子鋏」の製作に取り組んでいました。

鍛冶職人・梅木昌二さん
「自分が育った島の大事な宝なので、なるべく途絶えさせないように作っている」

種子島でこのような鍛冶の工房は、最も多いときで50軒ほどありましたが、現在はわずか3軒のみ。

中でも機械を使わず、すべて手打ちの伝統的な製法で手がけるのは梅木さんひとりだけです。

種子鋏の技術と伝統を今につなぐ、かけがえのない職人です。

現在、鹿児島市のマルヤガーデンズ4階で開かれている企画展では、そんな梅木さんが手がける「種子鋏」も展示・販売されています。

良質な砂鉄が多く採れる種子島。

今から約500年前の鉄砲伝来と同時に、中国の鍛冶職人によって鋏の技術が伝わりました。

日本のはさみはそれまで、糸切り鋏のような“U字型”の物でしたが、現在でも多く使われている“X字型”のはさみは「種子鋏」がはじまりとされています。

庄村奈津美記者
「薄いティッシュから布まで切れ味がおちることなく楽しめる『種子鋏』。一度使ったら手放せないというファンも多いと言うことです」

D&DEPARTMENT・崎山智華さん
「試しに(鋏で)切ったときにニヤッと笑みがこぼれて。みなさん切れ味の良さ、シャキシャキという音を楽しんでいる。今の時代にこんな手打ちの包丁と鋏を作っている人がいることにすごく感動して、ぜひ種子島だけではなく、県本土の人にも知ってもらいたくて企画した」

5月11日には、梅木さんによる包丁研ぎのワークショップも開かれました。

ワークショップを通じて普段、接する機会の少ない利用者とふれあった梅木さん。

感じるところもあったようです。

鍛冶職人・梅木昌二さん
「手作りというものを求めている人が自分が考えているより多いと実感した。今後、お客さんとふれあうような企画を島内や県外でもできたらいい」

鹿児島が誇る宝「種子鋏」。

その使い心地を体験できる企画展は、5月28日までマルヤガーデンズ4階で開かれています。

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