「周囲も理解し支援を」発達障害の一つ“ADHD”をテーマに映画…富山出身者も制作に関わる

発達障害の一つに「ADHD」があります。
「注意力に問題がある」といった特徴があって「大人になって気が付く」人も多く、
「大人の発達障害」ともいわれています。
この「ADHD」をテーマにした映画が今制作されています。
制作に関わっているのは富山出身の人たちです。
制作の様子を取材しました。

4月、ADHDを題材とした映画の撮影が行われていました。
この映画で主演を務めるのは富山市出身の俳優、内浦純一さん。
ADHDの特徴を持つ主人公・佐藤はじめを演じます。
この日は、妻と言い合いになったり、物を探そうとしてイラつくなどADHDの特徴を紹介するシーンが撮影されていました。

*富山市出身俳優 内浦純一さん
「やったらやったで、これでいいのかな、どうなのかなって考えながらやっている」

映画のタイトルは「星より静かに」。
主人公の男性が、ADHDと向き合いながら妻と暮らす日常生活が描かれています。

メガホンをとるのは君塚匠監督。
自らADHDの特徴を持っています。
映画は、ドラマだけではなくADHDの特徴がある人へのインタビューも織り交ぜた作品で、この秋、公開予定です。

*ADHDの特徴を持つ 君塚匠監督
「偏見は残念ながらあるということで、それをなくすべきだと思って作る必要がある映画だと思った。少しでも緩和されるというか、そういう世の中になったらいいと思っている」

ADHDは注意欠陥・多動性障害とよばれる発達障害の一種です。
特徴的な症状として、注意力が乏しく、好きなこと以外に対して関心や興味を示さない多動性。
思いついたことを、よく考えずに即座に行動に移してしまう衝動性が見られます。

*永井貴裕医師
「不注意症状のある方ですと、忘れ物が多かったり予定の段取りを立てるのが苦手。多動衝動性がメインの方だと、急な転職をしてしまったり思ったことをすぐに口にしてしまってトラブルになることが考えられる」

子どものころから症状が現れ、40人に1人がその特徴を持っていると言われていますが、症状が軽い場合は見過ごされ、大人になって問題が表面化して気づく人も多いということです。

この映画にインタビューで出演し、ADHDの特徴を持つ赤木達也さん(仮名)です。

*ADHDの特徴を持つ 赤木達也さん(仮名)
「あーバン!みたいな感じでやっちゃったりして、今もちょっと(手が)はれているんですけど」

赤木さんは衝動的に怒りをコントロールできず、自分を傷つけてしまうこともあるそうです。

*ADHDの特徴を持つ 赤木達也さん(仮名)
「(症状が出たら)薬を飲んで睡眠薬を飲んで、すぐ寝て次の日にすぐ病院に行って、こういう『ことがありました』と伝えると、薬を替えようかとかそういう感じで」

強い衝動に自らをコントロールできない特徴もみられるというADHD。
内浦さんは、演技の難しさを痛感していました。

*富山市出身俳優 内浦純一さん
「考えれば考えるほど難しくて。障がいとかそういうことでくくれないんじゃないかと思って人間は。それを、僕はこの映画ではじめという役で表現できればと思っている」

また内浦さんの妻役を演じ、プロデューサーも務める蜂丸明日香さんも富山市出身。
今回の作品について…。

*富山市出身 蜂丸明日香さん
「深いところまでは分からない人がまだまだたくさんいますし、監督も実際に『この人、大丈夫なの』とか言われたりして傷ついたことがあって、そういった誤解を少しでも減らせるといい」

*君塚匠監督
「(インタビューをする中で)一緒にされたくない。一緒に仕事をしたくないという人もいた、20代の人で。驚いたが、そういう人もいるんだと思った。(世間の目は)確実に変わってきてはいるので偏見はなくなりはしないが、良くなっていると思う。その一助に、この映画もなればと考えている」

「ADHD」は自己抑制が苦手だったりしますので、周囲とトラブルが起きやすい特性があるということで、肝心なのは、まず本人が悩まずに周囲に相談すること。
そして、周囲もそれを理解して必要な支援をすることだそうです。
映画は、秋に全国で公開されます。

© 富山テレビ