Q.「梅雨になると、咳が止まらなくなります。病気でしょうか?」 【医師が回答】

梅雨や夏に咳が止まらなくなる場合、カビが原因の可能性があります。カビによる咳症状の特徴と対策法を解説します。

Q. 梅雨時から夏に、咳が止まらなくなることがあります

Q. 「梅雨時から夏にかけて咳が止まらなくなることがあります。寒い季節なら乾燥や風邪などが原因かなと思いますが、暖かい季節や暑い時期に咳が止まらなくなる原因としては、どんなことが考えられるでしょうか? 今年はうまく対策したいです」

A. 梅雨時の咳はカビが原因の可能性もあります。生活空間を清潔に整えて

咳の原因は実に様々なので一概には言えませんが、梅雨など高温多湿の季節に咳がひどくなる場合、「カビ」が原因の可能性があります。 カビは、温度20~25度、湿度65%以上の環境を特に好むため、日本の梅雨から夏にかけては、室内でカビが増えやすい季節です。 カビが原因で起こるアレルギー反応として、喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎などが挙げられます。カビが原因で咳症状を起こすものとして忘れてはいけないのは、「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」と「夏型過敏性肺炎」です。

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

湿った咳や、ゼイゼイという喘鳴(ぜいめい)、息切れなどの症状が出ます。西日本に多く、30~40歳代の女性に多い病気です。 古い木造住宅で湿気が高い場合は、特に注意が必要。症状は気管支喘息ととてもよく似ているため、検査を受けて、診断する必要があります。薬を使って治療します。

夏型過敏性肺炎

大量のカビを吸い込んでしまった場合に、4~6時間以内に痰のある咳、発熱などの風邪のような症状で起こります。咳の症状が徐々に強くなるタイプや、症状の悪化と軽快を繰り返す慢性型のタイプなどに分かれます。 治療法は、環境を変えることです。患者さんが肺炎を起こして入院して普段の環境を離れた際に、治療を始める前に症状がおさまることもあります。 そのほかにも、カビのアレルギーとして、空気中のカビが気管に入ることで起こる気管支喘息などが考えられます。 カビが原因の咳の有効な対処法は、何よりも生活空間をきれいに保つことです。 ・部屋の湿度を50%前後に保つ ・寝具に布団乾燥機を使うなど、寝具のケアをする ・押入れや物置の湿気対策をする ・乾燥させたり、カビに効く洗剤を使うなど、水周りのカビ対策をする ・お風呂場の見えない部分でカビが増えないよう、掃除を徹底する などの方法があります。無理なくできる方法を上手に取り入れて、蒸し暑い季節も生活環境内のカビを増やさないように工夫しましょう。

清益 功浩プロフィール

小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。 (文:清益 功浩(医師))

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