C大阪に劇的な勝利。鍛え抜かれたFC町田ゼルビアのサッカーは正直、美しい【コラム】

2024年5月15日、「Jリーグの日」に開催されたセレッソ大阪戦でFC町田ゼルビアは2−1と勝利した。一度は追いつかれながらも後半のアディショナルタイム(90+3分)に決まったミッチェル・デュークのゴールで勝点3を掴んだ。

4-4-2システムでスタートさせた町田は、4-3-3システムで臨むC大阪にプレスをかけつつ、カウンターを狙った。攻撃の起点となったのはU-23日本代表の藤尾翔太で、このFWはドリブルからシュートまで持ち込むシーンがあるなど積極性が光った。

守備的に映りながらも決してディフェンシブではない町田のサッカーは組織的に統率されていて、よく鍛えられている。ここまでJ1リーグで上位につけているのは決してフロックではないと、そう断言できるレベルにあるはずだ。

当然ながら細かいミスはある。20分過ぎの最終ラインでのパス回しなどは「おいおい」という感じだが、致命傷ではない。むしろ試合を通して目を奪われるのは、3ライン(2トップ、中盤4人、4バック)ではめる守備であり、痛快なカウンターアタックに対してだ。

28分に藤尾と同じU-23日本代表の平河悠が後方からのパスに反応し、抜け出してシュートまで持ち込んだシーンはまさに痛快で、ゴールが決まっていればこの試合最大のハイライトになっていたかもしれない。

実際のところ、最大のハイライトは70分か。リズミカルな組み立て、仕掛けから、ナ・サンホのクロスをオ・セフンがダイレクトボレーで合わせて決めた先制弾だ。技術的にも、視覚的にも、まさにパーフェクトなゴールだった。

一糸乱れぬとは大袈裟な表現だが、ひとりが動けば近くの味方が連動する町田のサッカーは正直、美しい。

確固たるスタイルを築くチームは大崩れしない。それを証明しているのが、今季の町田ではないか。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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