ジョン・レノン『Mind Games』のアルティメイト・コレクションが発売決定

ジョン・レノンが、『Imagine』(2018年)、『John Lennon/Plastic Ono Band』(2021年発売)に続き、4作目のソロ・アルバム『Mind Games(マインド・ゲームス(ヌートピア宣言))』のアルティメイト・コレクションを2024年7月12日にリリースすることが決定した。

『Mind Games』のアルティメイト・コレクションは、デジタル、2CD、2LPから、6CDとブルーレイ2枚組のデラックス・ボックス・セットまで、さまざまなフォーマットで発売される。極めつけはスーパー・デラックス・エディションで、世界中で1,100セットのみ限定販売される(UNIVERSAL MUSIC STORE限定/輸入盤のみ)。

7月12日の発売に先立ち、「Mind Games (The Evolution Documentary)」が先行配信。 

4枚目のソロ・アルバムの経緯

1973年10月29日にアメリカで、11月16日にUKでリリースされたジョン・レノンの4枚目のソロ・アルバム『Mind Games』は、ヨーコ・オノのアルバム『Feeling the Space(空間の感触)』に参加したミュージシャンたちと共に、ニューヨークのレコード・プラントでレコーディングされた。

『Mind Games』の楽曲制作は、レコーディングと同じくらい素早く行なわれた。ジョンはスタジオに入るわずか2週間前の1973年7月16日の週に一連の新曲を書き上げていた。レコーディングは8月1日開始で5日に終了。8月6日~16日にオーヴァーダブが行なわれ、8月21日から9月18日にかけてミキシング、9月19日~21日にマスターテープが制作された。このアルバムはジョンがセルフ・プロデュースし、ヨーコがプロデュースを手伝ったもので、フィル・スペクターが実権を握らなかった初めてのソロ・アルバムとなった。エンジニアはロイ・シカラとダン・バービエロで、セッションの終盤にアシスタントとしてスタジオ入りした若きジミー・アイオヴィンがスタジオ作業を手伝った。

『Mind Games』は発売後、全米ビルボードで9位、英国で13位を記録。このアルバムからリリースされた唯一のシングル「Mind Games」は、ビルボード・ホット100で18位、全英で26位を記録している。

当時のジョンを取り巻く状況

1973年、当時33歳のジョンは、個人的にも、そして政治的にも激動の真っただ中にいた。アメリカ移民局との数年にわたる強制送還を巡る係争が続く一方で、彼の反ニクソン運動、反ヴェトナム戦争活動、そして1972年のアルバム『Some Time in New York City』に込められた政治的なメッセージによって、彼は当選したばかりのリチャード・ニクソンの標的となり、FBIに監視されるまでになっていた最中の、1973年8月に一流のセッション・ミュージシャンたち(冗談でプラスティック・U.F.オノ・バンドと名付けられた)を引き連れてニューヨークのレコード・プラントに入った時の劇的な背景だった。

友人のドラマーのジム・ケルトナーが、ギタリストのデヴィット・スピノザと共に、ピアニストのケン・アスチャー、ベーシストのゴードン・エドワーズ、ペダル・スチール奏者の“スニーキー”ピート・クレイノウ、サックス奏者のマイケル・ブレッカー、ドラマーのリック・マロッタ、バッキング・ヴォーカリストのジョセリン・ブラウン、クリスティン・ウィルトシャー、エンジェル・コークリー、そしてキャシー・マルらを集め、ジョンはこの異常な状況下での活動期間に、愛、失恋、平和、精神性、社会的不正義といったテーマを探求する、非常に個人的で内省的なアルバム制作に没頭し、『Mind Games』を1973年に発表した。

今回の新作について

今回ヨーコ・オノの完全な許諾を得て、この作品の制作とクリエイティヴ面を監修したショーン・レノンがプロデュースしたアルティメイト・コレクションは、グラミー賞®を3度受賞したエンジニアのポール・ヒックス、ミキサー/エンジニアのサム・ギャノンとロブ・スティーヴンスなど、『Imagine』と『John Lennon/Plastic Ono Band』のアルティメイト・コレクションと同じ音響チームが携わっている。

このアルティメイト・コレクションは、リスナーをスタジオの中心に置き、ニューヨークのレコード・プラントで1973年に行なわれたアルバムのレコーディング・セッションを、その始まりから最終マスターに至るまで、未発表のアウトテイク、そのままのヴァージョン、インストゥルメンタル、ストリップ・ダウン・ミックス、スタジオでのおしゃべりなど様々な素材を使って、ファンのお気に入りの曲がどのように進化し、命を吹き込まれていったかを明らかにしている。

『Mind Games』アルティメイト・コレクションでは、ジョンのヴォーカルを前面に押し出し、サウンドをアップグレードした不朽のアルバムの全く新しいアルティメイト・ミックス、マルチ・トラックのレコーディング音源から特定の楽器を分離してハイライトし、オリジナル・ミックスに埋もれていた演奏を際立たせたエレメンツ・ミックス、ジョンとザ・プラスティック・U.F.オノ・バンドがテープに録音したものを、ヴォーカル・エフェクトやテープ・ディレイ、リヴァーブなしで生のままミックスした状態で聴くことができるロウ・スタジオ・ミックスなど、没入感と親密さを同時に味わえる6つの異なるユニークなリスニング体験が提供される。

エヴォリューション・ドキュメンタリーは、ユニークな曲毎のオーディオ・モンタージュで、デモ・テープの段階からマスター・レコーディングとして仕上がるまでの各曲の変遷を、デモ音源や、リハーサル音源、アウトテイク、マルチ・トラックでの作業や、スタジオでの会話などを通して詳細に紹介する。

アウトテイク集では、各曲の魅力的な別テイクを聴くことができる。一方、エレメンタル・ミックスは、『Mind Games』アルティメイト・コレクションのために特別に制作された新たなセットで、ミニマリズムのエレメンツ・ミックスと、アルティメイト・ミックスの中間に位置し、ジョンの声を前面に押し出した、ドラムなしのシンプルで無駄のないアレンジに曲を戻したものとなっている。ブルーレイには、HD、スタジオ・クオリティの192kHz/24bitオーディオ(ステレオ)、5.1サラウンド、ドルビーアトモス・ミックスなど、リスニングのための様々なオプションが用意されている。

すべてのトラックは、15本のオリジナル2インチのマルチトラック・セッション・テープから、最新の192-24デジタル・トランスファーを使用して、一から完全にリミックスされている。アルティメイト・コレクションには、未発表のアウトテイクなどに加え、アーカイヴの1/4インチのオープンリール、カセットテープ、ビデオテープからの未発表音源が追加収録されている。

オノ・ヨーコのコメント

「ジョンが伝えたかったのは、私たちはみんな心理ゲーム(マインド・ゲーム)をしているということ。でも、もし私たちがマインド・ゲームをすることができるのなら、それでポジティブな未来を作ったらどうだろう――ポジティブなマインド・ゲームになるように。“Mind Games”は信じられないほど強い曲。当時は、この曲の時代が来る前だったから、人々はこのメッセージをよく理解できなかった。今なら皆が理解してくれるはず。当時は、自分たちがマインド・ゲームをしていることにも気づいていなかったと思います」

Written By uDiscover Team

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