「真新しい制服を顧みず…」 鹿沼の踏切でトラック脱輪 復旧に協力した高校生らに感謝状

感謝状を手にする中山さん(中央)と梅澤さん(左)

 列車事故を未然に防いだとして、栃木県警鹿沼署は10日、鹿沼市上殿町、無職中山光郎(なかやまみつろう)さん(76)と、松原3丁目、鹿沼南高1年梅澤美琴(うめざわみこと)さん(15)に感謝状を贈った。2人は4月17日午後、深津のJR日光線鶴田-鹿沼駅間の踏切で1トントラックが脱輪し立ち往生した際、JR職員や警察官らと協力して復旧に当たった。

 中山さんは日課のサイクリング中、現場に遭遇。とっさに駆け寄りJR職員らと、はまった前輪の持ち上げを試みるも、びくともしなかった。停車する列車内から乗客が不安そうに見つめる中、「早く解決しなくては」と近くの人に協力を呼びかけ、下校中の梅澤さんも手伝った。

 次第に人が集まり10人ほどで排除に成功。約50分後、列車は運行を再開した。中山さんは作業時、トラックに衝突し腕にけがをしたが、救急車到着までの間、梅澤さんがタオルで止血に努めた。

 中山さんは「こんなこと人生で二度とない。梅澤君が真新しい制服を顧みず協力してくれて良かった」。梅澤さんは「無事に解決して一安心」と笑顔を見せた。大澤賢吾(おおさわけんご)署長は「尽力ありがとうございました。素晴らしいです」と感謝した。

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