4カ月半いまだ渡れず 能登島のツインブリッジ 基礎にずれ40センチ工法未定

元日の地震発生から4カ月半が経過しても通行止めが続く「ツインブリッジのと」=七尾市中島町長浦

 七尾市能登島に架かる2本の橋の一つ、中能登農道橋(ツインブリッジのと)の通行止め解除のめどが立っていない。能登半島地震発生から4カ月半が経過しても、復旧工事を担当する石川県によると、工法すら決まっていないのが現状だ。工事の「難所」とみられるのが基礎に生じた40センチの段差。もう1本の能登島大橋が早期再開したのに比べ長期に及ぶ閉鎖に、市民からは「生活再建のために急いでほしい」との声が上がる。

 県によると、大きな揺れで橋桁(はしげた)と橋につながる陸側の道路との間に40センチのずれが生じた。橋台と橋桁の間にある連結材「支承(ししょう)」が全6カ所のうち、4カ所で破損したことが要因とみられる。

 支承は橋にとって「遊び」の部分。気温の変化で橋の構造物が膨張したり、縮んだりしても橋桁を安定させる機能を持つ。

 災害時は力を逃がす役割もあり、ツインブリッジの支承は耐震化されていたが、一部は押しつぶされるように壊れた。

 県は国や専門家と相談しながら、工法を検討しているが、仮に支承を交換するとなると、橋桁を油圧ジャッキで持ち上げるなど大規模な修繕が避けられず、相当の期間が必要になることが想定されるという。

 大きな被害に管理者の七尾市に代わって復旧を担うことになった県農林水産部の担当者は「同様の構造の橋がここまで壊れた例は経験がない」とし、本格的な復旧工事は前例のない取り組みになると指摘。応急対策も含めできるだけ早く通行を再開させる方法を探るとした。

  ★中能登農道橋(ツインブリッジのと) 七尾市能登島と同市中島町をつなぐ全長620メートルの斜張橋(しゃちょうきょう)。主塔と呼ばれる構造物から斜めに張った複数のケーブルで橋桁をつっている。1982年に開通した能登島大橋に続く第2のアクセス道路として99年に開設された。七尾湾や能登島の風景を楽しめる観光スポットの一つで、地震前の通行量は1日500~700台。

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