●友好県省40周年の節目
【瀋陽=森康平】富山県と友好提携先の中国・遼寧省は15日、経済や観光などの各分野で協力することを定めた覚書に調印した。立山黒部アルペンルートの「雪の大谷」をはじめ、双方が持つ氷雪を生かした観光資源での連携などを軸とする。友好県省締結40周年を機に、コロナ禍を経て両県省のさらなる友好促進を図る狙いで、新田八朗知事は「相互理解を深め、絆をさらに強固にしたい」と意欲を示した。
15日、新田知事を団長とする県の友好訪問団が瀋陽市の遼寧省政府を訪ね、省政府トップの李楽成(りらくせい)省長と覚書を交わした。
●トップ間交流促進
新たな覚書では、省トップである郝鵬(かくほう)省委員会書記が4月に富山県を訪れ、新田知事と懇談したことを受け、地方のトップなどハイレベルの交流を加速させる項目を新設。経済貿易の内容を強化したほか、コロナ禍で運休している富山―大連便の再開を目指すことも新たに盛り込んだ。
中国東北部に位置する遼寧省は、氷雪資源を生かした施策を進めており、観光のほか、ウインタースポーツなどの分野で実務的な協力を推進したい考えだ。
新田知事は、県と遼寧省の交流の輪が着実に広がっているとし、今後の親交に期待した。郝氏は「互いの心の深いところに友好の種をまいた」、李氏は「両地域から日中の友好関係を進めたい」と意気込んだ。
県と遼寧省は1984(昭和59)年に友好県省を締結して以来、関係の進展を受けて2009、14年に協定を結んできた。18年には日中間、県省間の情勢変化から、協定を補強する形で覚書を定めた。
富山県議会と遼寧省の議会に相当する省人民代表大会も、2004年に交わした友好交流協力に関する協定を更新し、覚書として調印した。山本徹県議会議長は「ビジネスや観光、教育などの推進へ県議会としても努力したい」と語った。
訪問団は15日に北京市から瀋陽入りした。17日は大連市を訪れる。