【阪神】無期限降格の佐藤輝明は〝片道切符〟 ノイジー三塁コンバートで遠のく「一軍スタメン返り咲き」

三塁でノックを受けたノイジー

虎の規格外男に〝戻る場所〟はあるのか。阪神は15日の中日戦(バンテリン)に1―0で辛勝。その試合終了後、岡田彰布監督(66)は同日に登録を抹消された佐藤輝明内野手(25)について問われ、こう冷たく突き放した。

「あんなんファームやんか。ファーム。ファームの選手やんか」

前日14日のカード第1戦(豊橋)で、敗戦に直結する失策を犯した背番号8。開幕から続く打撃不振と守備難に我慢を重ねてきた指揮官も、ついに二軍降格を決断した格好だ。最短なら10日で一軍再昇格も可能となるが、今回の措置は事実上の「無期限降格」となる。

この日の試合前練習では来日以来、左翼を主戦場としてきたシェルドン・ノイジー外野手(29)が三塁の守備位置でノックを受けた。岡田政権下における虎のホットコーナーは佐藤輝の〝専用席〟としてこれまで用意されてきたが、聖域についにメスが入ったことをこの一幕は示唆している。

ノイジーのMLB在籍時代の本職は三塁。それだけに2年のブランクを感じさせない軽快な動きを披露し、いきなり周囲の度肝を抜いた。既に広く知られている鉄砲肩だけでなく、腰を低く下げた軽快なフットワーク、安定感のあるグラブさばきは元メジャーリーガーとして説得力十分なもの。岡田監督も「ノイジーはアメリカでは三塁やんか。三塁手やったからな」と評価した。

チーム事情を考えてもノイジーの三塁コンバートは理にかなっている。不動の中堅手・近本が中央に君臨する虎の外野両翼は森下、前川、井上、小野寺ら将来有望な若手たちが定位置を争う最激戦区。ノイジーが内野に回れば、伸びしろ十分なプロスペクトたちにこれまで以上の打席数を提供することが可能になるだろう。

この日は左翼としてゲームに出場したノイジーだが仮に今後、背番号7の三塁への配置転換が決定した場合、佐藤輝の一軍復帰およびスタメン返り咲きはこれまで以上にハードルが高くなる。今回の二軍降格は、いわば復路が用意されていない〝片道切符〟。ファーム・鳴尾浜の土にまみれ、泥水を飲みながら再起への道を模索するしかない――。

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