「俺は点が取れるなと感じた。でも…」小川航基は欧州挑戦1年目での“14得点”をどう受け止めているのか。「歴史に名を刻みたい」【現地発】

小川航基(NEC)はオランダリーグ第32節のエクセルシオール戦(3対0)、第33節のフェイエノールト戦(2対3)と、シーズン大詰めに来て途中出場が続いている。

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「(シーズン)最後のところで、僕はちょっと疲れが見えるというような印象だった。(横浜FCから移籍してオフもなく)1年半ぐらいやっているんで、そういったところもあったかもしれない。ただ、タフな身体を作っていかないと。これから日本代表に絡んでいくなかで、 日本に帰ったりするフライトとか、そういったタフさというのもけっこう重要になってくる。

今日、(5位の)アヤックスが勝ったんですよね。(現在6位のNECは)UEFAカンファレンスリーグ出場を懸けたプレーオフ行きが確実だと思う。チームが勝ち続ければ残り3試合(リーグ戦1試合・プレーオフ2試合)。そこに向けてしっかりアピールして、ポジションを奪い返して、来季に向けていい状態でやりたいです。(スタメン落ちは)本当に悔しかったが、自分を見せ続ければチャンスが巡ってくる」

KNVBカップ決勝戦(4月22日のフェイエノールト戦。0対1)では1点ビハインドを負った66分、小川はシラ・ソーに代わってベンチに下がった。以降、両者のチーム内での序列が変わった。

「KNVBカップ決勝戦は得点が欲しかったので、僕としては2トップで良いと思いました。今まで点が欲しいという場面で2トップになった時に、僕が機能するところをなかなか見せられなかったから、僕が反対に交代メンバーになっていると思う。でも、こういった刺激だったり、ライバルがいたりするというのは間違いなく自分の成長に繋がると思う。こういったところで下を向いているようでは、掴めるものも掴めない。自分に目を向けたい」
26歳にして初めて掴んだ欧州挑戦。その1季目があっという間に終わろうとしている。公式戦14ゴール(リーグ戦10ゴール・カップ戦4ゴール)は「本当に最低ライン」と小川は振り返る。

「ここに来て飛行機を降りる時に、『こっちで絶対に成功する』っていう思いを抱いてこの地に降りたんです。すごいそれを鮮明に覚えている。『初めての海外の地で、絶対に得点を取って、代表に呼ばれて、どんどん自分を高めていこう』と。

今シーズンを振り返ると(ドストやソーに)ポジションを取られる時もありましたし、点を取れた時もあったし、怪我した時もあったし、(日本代表からNECに戻って)体調不良になった時もあったし。シーズン通して、もうほんと最低ラインのところかなっていう風にやっぱ思っていますね。

ここに来て最初に『俺は点を取れるな』と感じた。でもこの数字…。決して満足できる数字ではなかった。僕はあと5点ぐらい取れる自信があるし、なんならもっと取れると思っている。来年はかならずもっと良くなると思う。NECが今シーズン、まあまあ良かったので出ていってしまう選手もいると思いますが、チームメイトも僕の良さを分かってくれたと思います。さらに自分にプラスを付け加えて、もっと点を取る工夫をしたい」

3月21日、NECは小川航基の完全移籍を発表した。契約は2027年夏まで。

「最初から完全移籍で来た感じでした。僕は点を取れると思っていたし、開幕から点を取れたので、『やっぱり取れるな』と思った。オランダに来る前も『結果が出なくて契約が結ばれなかったらどうしよう』とか正直考えたこともなかった。

『ここに外人として来るということは、結果を出して当たり前』みたいなところがある。日本でも助っ人外国人を獲ると、基本的には『活躍するでしょう』という目で見るじゃないですか。僕も、そういう目で見られていたところがあるけれど、自分が日本人ということもあって、まだ最初は認められてなかったと思う。今日(フェイエノールト戦)、(佐野)航大が得点を取ったり、僕自身も今シーズン、最低限のゴール数を取ることができた。一つひとつ認められたシーズンだったと感じます」

NECが欧州カップ戦に出たのは08-09シーズンのUEFAカップ(当時)が最後。もしプレーオフでカンファレンスリーグ行きの切符を掴み取ることができれば、実に16年ぶりとなる。

「クラブの歴史に名を刻みたい」

そう小川は誓った。

取材・文●中田 徹

© 日本スポーツ企画出版社