回転窓/ゼブラの挑戦者

福島県に住む友人が果物を送ってくれた。市場に出せない規格外のものだが、形や大きさで味が変わることはなく、おいしくいただいた。同県国見町が拠点のベンチャー「陽と人」(ひとびと)を通じて購入したという▼同社は2017年の創業後、規格外の果物を都市部の青果店に流通させ、干し柿の製造工程から出る皮で化粧品も開発。企業として収益を確保するだけでなく、地元農家の所得向上にもつなげている▼社会貢献と持続的な成長の両立を目指す新興企業は「ゼブラ企業」と呼ばれる。群れで支え合うシマウマに由来する概念で、17年に米国で提唱された。時価総額を重視する「ユニコーン企業」とは対照的な存在に位置付けられる▼政府が地域の新たな担い手としてゼブラ企業の支援に乗り出す。6月から全国でモデル事業を展開し、地元企業や地方自治体との連携を後押しする。地域の課題解決に取り組む企業の創出や投資拡大を図るのが狙いだろう▼眠っている地域資源を掘り起こしたり、地方と都市の魅力を組み合わせたりして地方創生を目指すゼブラ企業。建設業からも多くの挑戦者が出てきてほしい。

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